2007年。アメリカ。"DEAD SILENCE".
 ジェームズ・ワン監督。リー・ワネル脚本。
 世間からは、『CUBE』や『ブレアウィッチ・プロジェクト』などと同じく、1発屋ではないか、という疑いを持たれていた、『SAW(ソウ)』シリーズ第1作目のジェームズ・ワン監督と、脚本と主演をしたリー・ワネルによる新作。
 『SAW(ソウ)』シリーズの第2作目以降は製作総指揮という立場に回って、1発屋である正体を知られることを、たくみに回避してきた、というようにも見えた。

 監督・脚本家としての真価が問われるこの第2作目は、果たしてどうだったのか、と思ったら、
 やはり、この2人は、1発屋だったようにも見えるが、意外にも、平凡なホラー映画としては、面白い作品になっていた。
 今回は、ジグソウの分身としてブラウン管から語りかける人形ではなく、腹話術の人形を重要な小道具に使っていて、この二人組は、おそらく子ども時代にテレビか何かで見た、『サスペリア PARTⅡ』 で、突然出てきたからくり人形のおそろしさに、よほど取りつかれてしまっているのではないか、と思った。
 インタビューでも、ハマープロやイタリア製ホラー映画の魅力に取りつかれていることを告白している。

 『SAW(ソウ)』第1作目のような新鮮さも驚きも何もない作品だったが、どこか好感が持てる仕上がりになっているのは、ホラー映画というジャンルに対する尊敬の態度のようなものがあった、からかも知れない。
 アメリカ本国での評価は低いようで、IMDbでも、「退屈」・「がっかり」・「つまらない」といった単語が目立つ。が、それほど悪い映画ではなかったようにも思われた。
    IMDb          公式サイト(日本)
deadsilence3
 映画の中心人物となる腹話術人形のビリー君。物語は、ある日、主人公ジェイミーの家へ差出人不明の小包として、ビリー君が送られてきたところから始まる。
deadsilence7
 とまどいながらも、腹話術人形で遊んだりするジェイミー(ライアン・クワンテン)と、その妻リサ(ローラ・リーガン)だったが、その後、ジェイミーが外出している間に、リサは舌を引き抜かれた惨殺死体となって発見される。
deadsilence4
 ジェイミーが最重要容疑者だとにらんだリプトン刑事(マーク・ウォルバーグの兄で『SAW(ソウ)』シリーズでなじみ深い顔となったダニー・ウォルバーグ)は、ジェイミーをしつこく追跡することになる。
 ジェイミーは彼の故郷のいなか町に古くから伝わる、「メアリー・ショウにご用心」という人形についての詩を想い出し、その詩と腹話術人形に事件の秘密があると考えて、故郷へと向かう。
deadsilence2
 故郷へ帰ると、冷酷で鬼のようだった父親(エドワード・ガントン)が、脳梗塞で倒れ、車椅子で生活していることを知る。父親は別人のように穏やかな人柄に変わってしまっていた。
 これが伏線となって、最後にアッと驚くどんでん返しが待っている。父親役の俳優はウド・キアにちょっと似ている。本当はウド・キアに演じてもらいたかったのかも知れない。
deadsilence6
 父親の横には、父と再婚したという怪しげな女エラ(アンバー・ヴァレッタ)が付きっきりで父の介護をしていた。エラは、どうやら財産目当てのふしだらな女のように見えた。
deadsilence5
 ジェイミーの調査によって、町には以前メアリー・ショウという人気者の腹話術師がおり、少年誘拐事件の犯人だと疑われたメアリー・ショウは、何者かに舌を引き抜かれた惨殺死体となって発見されていたことが明らかになった。
deadsilence1
 ジェイミーと、彼を尾行するリプトン刑事とは、町外れにあるメアリー・ショウの劇場跡地へと向かう。
 その後、おそろしい真実が明らかになり、大どんでん返しの救いのない結末が訪れる。
 ストーリーは、特に新鮮味もなく、ホラー映画なのに大してこわくもない場面ばかりだったが、セットや美術へのこだわりが感じられて、雰囲気のあるホラー映画にはなっていた、ような気がする。
デッド・サイレンス
¥2,982
Amazon.co.jp

Dead Silence [Original Motion Picture Soundtrack]
¥1,615
Amazon.co.jp