2006年。RobsonEntertainment."BLINDSIGHT".
ルーシー・ウォーカー監督。
チベットで初の盲学校を開設したドイツ人、サブリエ・テンバーケンが、盲人として世界初のエベレスト登頂を達成した登山家、エリック・ヴァイエンマイヤー氏にコンタクトをとったことから、この映画の企画がスタートしている。
 ドキュメンタリー映画が面白くなるのは、予想の範囲を超えた出来事が起こって、あらかじめ企画した意図とは違った方向に事態が変化する様子が画面に映し出される瞬間で、
 このドキュメンタリー映画も、おそらく順調に登山の行程が進行していれば、それほど感情を揺さぶられることもなく、あまり印象に残らない作品になっていたかも知れない。

 ところが、盲学校の生徒たち6名を連れてエベレストの隣にある標高7000メートルのラクパリを目指して、登山を開始すると、あらかじめ予期していたアクシデント以外に、いろいろな想定外のアクシデントが起こり、チーム内での考え方の違いから、激しい対立が発生してしまう。
 ほとんど、ののしり合いに近い話し合いから、教育とは何か、登山とは何か、という根本的な問題が浮き彫りになってゆく過程が面白かった。

 途中からは、盲学校の生徒たち6名を平等に描き出すことも放棄してしまい、6名の生徒のうちで、タシと呼ばれる青年に焦点が絞られてゆく。
 タシの壮絶な人生が明らかになってゆく過程には、画面から目が離せない状態になった。
 ドキュメンタリー映画としては、一種の失敗作かも知れないが、失敗することで、ドキュメンタリー映画とは何をもって成功だと言うのか、という映画についての根本にも触れるような問題についても考えさせられる興味深い作品になっていた。
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 登山は結局、頂上まで残り400メートルあたりの地点で、高山病の兆候が見られる生徒が3名いたために、あきらめて下山することになった。そこで登頂を強行するか下山するかについての、激しい口論が興味深い内容だった。
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 自らも盲目でありながら、ドイツから一人で、盲人に対する差別や偏見が激しいチベットを訪れて盲学校を開設し、「国境なき点字」という活動団体も設立したサブリエ・テンバーケン氏。
 強靭な精神力には感銘を受けたが、その分、自己主張も強く、エリックと激しく対立することになる。
 ノーベル平和賞候補になり、マザーテレサ賞を2つ受賞している。
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 盲人初のエベレスト登頂に成功したエリック・ヴァイエンマイヤー氏。プライドの高い登山家として、登山は失敗に終わった、と残念そうに語っていたが、頂点に達することが登山の目的ではない、ということを今回の経験から学んだ、とも言っていた。
 サブリエVSエリックの登山に対する考え方の違いをめぐる対立が、結果的に映画を面白くしていた。
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 タシ(幸運)という名前で呼ばれる中国人青年。彼の故郷を訪れるエピソードで、タシは両親によって、怪しげな中国人に売られ、街で物乞いをさせられていたことが判明する。その後逃亡生活を送り、ストリート・チルドレンとなっているところをサブリエに救出されていた。
 全身にタバコで焼かれたらしいやけどの跡が数十ヶ所あった、ということから、相当に過酷な生活だっただろうことが想像される。
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 キーラ(幸せ)と呼ばれる少女。英国へ語学留学し、現在は盲学校の運営に携わり、将来のリーダーとして期待されている。サブリエの教育の成果で、盲学校の生徒は中国語・チベット語・英語の三カ国語が理解できることには関心した。
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ジェネオン エンタテインメント
ブラインドサイト 小さな登山者たち デラックス版