2007年。「クワイエットルームにようこそ」フィルムパートナーズ。
   松尾スズキ監督・脚本・原作。
 内田有紀主演による、精神科の女子閉鎖病棟を舞台にしたコメディ。『カッコーの巣の上で』や『17歳のカルテ』 で描かれた世界と同じものなので、コメディにするのはむずかしい題材だと思われたが、松尾スズキ監督は、『恋の門』という、かなり面白いコメディを作った実績もあり、
 前半はギャグを中心に面白く、徐々にリアルな現実の世界に近づいてゆくという方法で、うまく処理していた。

 オープニングの売れっ子芸人(武沢宏)へのインタビュー後の会話がおかしくて、つかみはバッチリだったが、その後、物語は急展開する。
 精神科病棟へ強制入院させられた患者は、自分が正常であるにも関わらず、周囲の人々の無理解や診断ミスによって自分自身がここにいるのだ、と思う傾向にあるらしいが、それを少しずつ現実的になってゆく演出で描き出す物語には、怖ろしいものがあった。
 『恋の門』と同様に、そこそこに面白い作品。
    公式サイト
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 内田有紀が大竹しのぶ、蒼井優などの芸達者な俳優に負けていなかったのが意外だった。舞台経験を積んで、役者として成長したのかも知れない。全くそういう風には見えなかったのが、逆にすごいことのような気もする。
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 最も信頼できる正常な意識を持っているように見えたミキ(蒼井優)と明日香(内田有紀)は親友のようになるが、あるエピソードによって、ミキもまた、自分が正常だと思い込んでいるだけだと判明する。
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 恋人の鉄雄(宮藤官九郎)と弟子のコモノ(妻夫木聡)の仕出かしたいたずらに怒って、我を忘れて部屋の中で暴れたあげくに、睡眠薬とアルコールを飲んで意識を失ったことを明日香は少しずつ思い出す。
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 冷血な看護士をりょうがそのまんまの感じで演じる。
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 大竹しのぶが元AVギャルで覚せい剤中毒患者の怖い女を演じているときは、さすがに一人舞台のような感じになっていた。
 他に、廣野秀明(最初に内田有紀が転倒させて大量の血を流し、死んだのかと思われた)、俵万智、ハリセンボン、塚本晋也(自殺した内田有紀の元夫)、平田満、徳井優、その他いろいろ出演している。
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