2007年。「ワルボロ」製作委員会。
  隅田靖監督。ゲッツ板谷原作。主題歌:ザ・クロマニヨンズ。
 松田翔太、新垣結衣、福士誠治、その他出演。
 これは、素晴らしい。ここまで面白いとは予想しなかったので、感動した。原作も何も知らなかったので、’80年代が舞台の不良少年ものだと気づくのに時間がかかったものの、
 ストレートなけんか映画で、けんかの場面以外は最小限に抑えてあるのが、潔くてすがすがしい。
 中学校が舞台というのも、まだ先行き不透明な年代でもあり、物語の面白さと、さわやかさに貢献していた。

 立川市を舞台に中学校同士の縄張り争いを描いた作品。井筒和幸監督の不良少年もの映画の影響がストレートにあらわれているが、『ビー・バップ・ハイスクール』(見たことがあるはずだが記憶にない)や、画面にも出てきた東映ヤクザ映画に直接的な影響を受けている作品らしい。
 ’80年代の不良ファッションはいま見ると笑える部分が多いが、日曜日のレイトのためか、意外と入っていた観客は自分以外は見事に現役のヤンキーしかいなかったのも面白かった。ヤンキーが黙って食い入るようにスクリーンを見つめていたのもおかしい。
 来月公開の『クローズ ZERO』には期待していたが、これには何の期待もなかった。が、ここまで面白いと、ひょっとすると、『クローズ ZERO』より出来が良いかもしれない。
 家族との確執や恋のエピソードとのバランスもちょうどよくて、不良少年もの映画の傑作のひとつとして、末永く愛される作品になるような気がする。
   公式サイト
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 せまい地域に乱立する中学の中で最も小さい六人組のグループの生き残りをかけた青春映画。ひとりひとりのキャラクターの描きわけが少し物足りないなど、気になるところもあったが、テンポの良い展開で見せるのでよかった。
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 ガリ勉で中三まで通してきたコーちゃん(松田翔太)は、授業中に学校の支配者ヤッコ(福士誠治)に因縁をつけられて、ぶち切れ、いつの間にかヤッコの仲間になる。
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 母(戸田恵子)の弟で武闘派ヤクザのおじ(仲村トオル)に、無理やり本物の拳銃を手渡される。
 クラスメイトで恋心を抱いている優等生の山田(新垣結衣)に軽蔑されたのが気がかりになっている。
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 制服の改造を請け負うヤクザのような仕立て屋(ピエール瀧)に人生を学ぶ。
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 不良少年もの映画で最も重要な、本物の不良に見える敵役が、ちょっと違うような俳優もいたものの、それなりに良い俳優がそろえられていた。全く中学生に見えない者が多かったが。
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 『パッチギ!』へのレスペクトっぽい朝鮮中学との友情めいたエピソードもあった。
これが初監督作品とは思えないほど良くできた部分と、荒っぽくて雑な部分が混じっていたが、それも含めて青春映画として、みずみずしくて良かった。
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