2002年。LionsGate. "CABIN FEVER".
昨年公開されたホラー映画最大の問題作にして傑作『ホステル』によって、一挙にメジャーになったイーライ・ロス監督・脚本・製作。
この『キャビン・フィーバー』は日本では2005年公開で、デヴィッド・リンチ監督の弟子という宣伝文句だったが、
デヴィッド・リンチを超えるかも知れない未知の可能性を持った才能による、この数年のホラー映画の個人的にはベスト作だった。

 正統派のホラー映画らしい前半から、後半ムチャクチャになってきて、ピーター・ジャクソン監督とクエンティン・タランティーノ監督が絶賛している理由がわかった。彼らはこの映画に嫉妬していたのだった。
 彼らが本当は自分で作りたいが、立場的に作れなくなった、狙った映画で、しかもかなりこわい。
 怪物や幽霊は出てこない。家畜やペットから感染するらしい謎の病原菌が水道水から汚染していく恐怖を描いたところが今風な感じだが、全体に70年代から80年代のホラー調で、体から出血する場面はイヤな怖さがある。
 テンション高いままに突っ走る最近のホラーとは違い、ゆったりした雰囲気で緩急を自在にあやつる技術をすでに持っている。
 後半のはずしたギャグの連発は、イヤな感じを和らげてはいるものの、笑うに笑えない。
病気の少年が突然カンフーアクションで襲いかかってくるシーンには驚いた。
 カントリー・ミュージックを黒人白人仲良く聞きながら、病原菌に汚染されたレモネードを飲むエンディングはちょっとふざけすぎていたが。

 すでに完成しているらしい『グラインド・ハウス』(タランティーノ、ロバート・ロドリゲス等と共同製作)と、製作中の『ホステル パート2』、『CELL』の公開が待たれる。
   オフィシャル・サイト(US)
IMDb
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気の合う仲間たち数人と郊外へキャンプに出かけるというホラー映画のお約束パターンで始まる。2組のカップルになぜか1人だけ相手のいないお笑い系の男バート(ジェームズ・デベロ)が混じった5人で出発する。
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途中で不気味な村の雰囲気は感じたものの、第1夜は、なごやかなムードで過ぎてゆく。
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のんびりと日光浴をしている場合ではなかったが、危険に気づいていないポール(ライダー・ストロング)とカレン(ジョーダン・ラッド)。
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今いる場所が、徐々にこわくなってくるマーシー(セリナ・ヴィンセント)
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生理的に1番気持ち悪いマーシーのシャワーシーン、こすると皮膚がボロボロとはがれ落ちてゆく。
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謎の病原体に侵され皮膚が崩れ落ちたマーシーを小屋に隔離して様子をみるポールとカレン。しかし、すでにマーシーの体にはうじ虫がはい回っている。
cabin5
怪しげな雑貨店に助けを求めようとするが、病気のはずの子供が突然カンフー・アクションで襲いかかる。
cabin11
一人だけ何とか助かり病院に搬送されたポールに、一瞬見える病室の場面、意味不明なこわさがあった。
 かわいいものが場違いな場所に現れると逆にこわい。
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
キャビン・フィーバー
ホラー映画のDVDにつきもののダラダラしたメイキング映像やお互いをほめ合うだけのインタビューがある。あまり使いたくない感じのマウス・パッドのおまけつき。