川の底からこんにちは | にゃ~・しねま・ぱらだいす

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ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

川の底からこんにちは [DVD]/満島ひかり,遠藤雅,相原綺羅

【監督】石井裕也
【主演】満島 ひかり、遠藤雅、相原綺羅、志賀廣太郎、岩松了
【オフィシャルサイト】http://kawasoko.com/

まずは今回の東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
当方は東京の築50年強のオンボロビルで体験したことのない死の恐怖を味わいましたが、無事。
ただ家族が別々の行動を取っていたため、安否確認・集合できたのが深夜3時という状況でした。
現在もひっきりなしに続く余震や計画停電・放射能汚染水道など落ち着かない毎日ですが、
被災地の惨状を見ると、『生きていること自体、運が良かった』とつくづくかみ締めている次第です。

今回の映画レビューは震災前に鑑賞したものですが、あの日以来まったく書く意欲を失い
今日まで来たものの、記憶が風化してきてしまったので何とか気力を振り絞っている次第。
また当分レビューは間が開くのではないか、と思っております。読者いないから関係ないけど。

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次世代を担う演技派と目される満島ひかりが主演どころか、将来の伴侶までゲトしてしまった作品。
まだ若く伸び盛りなだけに、この決断が演技や活動の幅を狭めることにならなきゃいいけど。
よくも悪くも彼女しかできない彼女ならではの作品に昇華させているいるのは見事。

上京5年、5つめの会社、5人目の彼氏がバツイチ子持ちの上司という派遣OL佐和子は、
『しようがない』が口癖の妥協だらけの人生を送っていた。
そんな彼女にある日、叔父から田舎の父が入院したという知らせが入る。
家業のしじみ工場を継ぐように言われるものの、逃げるように実家を飛び出した佐和子は気が乗らない。
しかし会社をクビになった健一は田舎暮らしを美化しており、結局3人で出戻ることとなる。
案の定、小さな村のしじみ工場で昔の噂話をブリ返された彼女は、逆境に立たされることとなる-。

一時期の上野樹里、真木よう子など所謂『インディーズ系映画監督が嘱望する女優』同様、
満島かおりもそれに属する評価を得る次世代を担う演技派と期待されているようである。
彼女の一番の魅力は、端正な顔立ちと華奢な体型に似合わない自己主張を表現できるところ。
時には女らしさ、時には少年ぽさを醸しだす奥深さは、前記の2人よりもむしろ幅があるように思える。
どこにでもいる普通のOLでありながら、実は複雑な家庭環境を抱えており、しかも経営者として
成長していくという難しい役どころを自然体で演じている様は、今後が大いに期待できる素材。
当分の間、追いかけて行きたい素材ではある。それだけに突然の結婚がどーなるか見もの。

ぴあフィルムフェスティバル上がりの若手監督は、その魅力を存分に引き出しているものの、
撮影手法・演出などには流石に素人臭さが漂う。それが今後洗練されていくのか、持ち味として
残り続けるのか、この作品が一定の評価を得たことで予算が増えるであろう次回作以降が注目。

ライトコメディタッチではあるが、あくまでインディーズベースの邦画なので、見慣れていない人は注意。
完成度は佳作以上ではあるが、万人に薦められる程でもないということをご了承を。

【評価】
★★☆☆☆