cinemato-n

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「映画制作隊シネマトン」は、社会人による自主映画制作団体です。
東京を中心に、1時間以上の長編映画を制作・活動しています。
前々作『屑の森』がTAMA NEW WAVE「ある視点」に選出されました。
ただいま三作目『おまえの母ちゃんでべそ』を制作中!!

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YouTube編集チームの一員の…

…名前が、「こっちゃん」「そうこ」「くのいち(?)」「妹2(???)」など呼び名がいまいち一定していない彼女から、なかなかの調子で「読め」と手渡された本を、それ以上の勢いで読み切った野Pです。

タイトルは

『出版禁止』

なかなか刺激的です。

 

単純過激をモットーとしているのかシネマトン女子は、の中では、かなり複雑な精神構造を持っている彼女ですが、ほぼ唯一の読書趣味を持っている点でも貴重な個性といえるでしょう。あ、誤解をしないでください。本を読んでるっからって温厚でも常識的でもなく複雑で過激なだけですので、油断は禁物です。

ハンドルネームが不安定になるのも無理はありませんw 

 

さて…

本を手渡された時に

「ネットの解説記事も見て! 何なら作者の経歴も調べて! 生家も訪問してサイン会に出席しお盆には作者のお母さんの墓参りにも行きなさい! お風呂の床は毎日磨きなさい!」と勢い込んで言われたので非常に言いづらいのですが、

 

まあまあ、

 

でした。

…背中に不穏な気配を感じます。刃物系の。

 

これは本当にあるあるなのですが、

誰かにおススメされた本に「あっ」と思ってしまう。

何かというと「この作品のオリジナルを読んでいる」という感覚。

はっきり言います。

この本は京極夏彦の「魍魎の匣」のパクリ、いや、ト、トリビュート、インスパイアド…。

とにかく。

 

「魍魎の匣」

読める? これ。

その前に表示できる? Google。

「もうりょうのはこ」

読めなくてもあなたの人生に何も困ったことが起きないことは保証しますw

この作品は傑作です。二度と読まないでしょうけど。長すぎるし、文字が多すぎる。

そもそもタイトルからして気軽に読ませる気がない。出版社もこんなタイトルよく許したものだと逆に感心してしまいます。

 

『出版禁止』はベストセラーになっているのですから

タイトルは読みやすく、

読みごたえもちょうど。

ドラマ化も映画化も非常に…とここまで書いてぼんやりと確信しました。

この本は「映画化した時の予算」まで計算されてるんだな…。

この小説が映画化されるときは名だたる女優が主演に名乗りでるのではないでしょうか。

映画の予算規模にちょっと見合わないような大物も期待できると思います。

 

『出版禁止』は、あるルポルタージュを入手した作者本人がそれを発表した。

というていで陰惨きわまりない事件が描かれていて、

この構造が実は映像的なアイデアなのです。

 

 

誤解を恐れずに言うなら、じつは基本的に誤解を恐れたことはないのですがw

ドキュメンタリを含むすべての表現は嘘であり、

その嘘をどう信じさせるかということが作者の実力です。

 

「ルポルタージュを入手した作者」という構造がもたらすものは

わかりやすく伝えるなら、

「ものまね番組における本人登場効果」

ということになります。

 

歌番組なら曲の演出やらその日の歌手の調子やら、いろいろなことが厳しく査定されます。

しかし、ものまね番組では「ものまね番組」としてすでに査定が終わっている所に本人登場ですから、非常に貴重なものを見たという錯覚が起こります。

その「本人」が歌番組に出てもこんな形で本物感を感じさせることは非常に困難でしょう。

ものまねされるぐらいの歌手ですから、基本的にピークはすでに過去のものであり、よっぽどの大ファンでない限り「あの頃に比べたら…」となってしまいます。

口の悪い人なら言うでしょう。

「ニセモノ」だと。

もちろん誤解を恐れない人もそう言うと思います。

 

ところがもともとニセモノである「ものまね」を前に見ているので、私たちは「本物」だと錯覚するのです。

これが「ものまね番組本人登場効果」であり、

劇中劇など、昔から使い古された手法ですが

これは実写、あるいは演劇でないと効果が薄いのです。

 

実写映像には基本的にリアリティというものは存在しません。

CGなどの特殊な映像を除いて、あるものを撮るのですから、

そこにそれが「在る」という点については疑いの余地がない。

 

ですから、始めに「設定ですよー」として大きな嘘を信じてもらえば、その後の査定が非常に甘くなります。これは実際に(役者だとしても)その人がその場にいるということには疑いの余地のない実写や演劇では非常に強い演出効果をもたらします。

 

もし、最初の出会いが映像作品だったら

野Pは「あれ? 魍魎の匣じゃん」と思っていなかったはずです。

 

そして、明らかに映像まで企画されている本ではないかと思います。

偶然の可能性もないではないけどw

 

ちなみに

最近の映画でラストに

「この物語は実話をもとに作られています」という字幕を出すのも同じ効果がありますが、

さすがに「汚い真似すんな」と感じてしまう今日この頃です。

 

ほんで、こんなこんがらがった感じも含め

『出版禁止』ぽさ、みたいな。

 

そんなことを言うと、何か計算された文章に感じるでしょ?

そんな効果がある。

みたいなテーマの小説です。

 

みたいな内容です。

 

色即是空。