また一人日本映画界を支えて来た個性派俳優が亡くなった。
俳優・原田芳雄と聞いて、みなさんはどんなイメージを持つだろうか?
自分が原田芳雄に抱くイメージを書いてみようと思う。
男臭くて反体制的なアウトロー。
そんなイメージを決定づけた代表作とも言える映画が「竜馬暗殺(黒木和雄監督)」だろう。
モノクロームの映像で描き出されたアウトロー/原田竜馬は、後にも先にもこれほど強烈な竜馬はいないと言っていいほど、凄まじいものだった。何よりその「死に様」が強烈だった。
この役には俳優・原田芳雄のその後の「生き様」が方向付けられていたと言ってもいいだろう。
その他の代表作「祭りの準備(黒木和雄監督)」「ツィゴイネルワイゼン(鈴木清順監督)」「陽炎座(同)」「どついたるねん(阪本順治監督)」「浪人街(黒木和雄監督)」そして遺作となった「大鹿村騒動記(阪本順治監督)」と、同じ監督とのコンビで名作を生み出していることからも、映画を愛し、監督を選び、作品を選んでいた俳優だったのだと気づく。
もちろん個性的な脇役として様々な作品に出演しているので、選ぶというのはおかしいかもしれないが、これぞ!という時のチカラの入れ方が半端ではなかったように思える。
自分の中では、アメリカンニューシネマの旗手としてスクリーンに登場し、アウトローな生き方を貫いたハリウッド俳優デニスホッパーと被るイメージがある。いわば和製デニスホッパーか。
時代が少しずれていれば、後輩の松田優作や桃井かおりら「盟友」がハリウッドデビューしたように、原田芳雄にもその機会が訪れていたかもしれない。しかし、そこが不器用な生き方しか出来なかった原田芳雄らしさなのかもと思う。
松田優作といい、数年前に亡くなった「緒形拳」といい、今回の「原田芳雄」といい、死ぬ間際まで演じる事に執念を燃やし、燃え尽きた俳優たちは多い。
皆が「映画」にこだわり、まさに「映画」に命を賭けた。
「映画」とは男が命を賭けるに値するものなのだ。
彼らの「死」を思う時、軽々しく「映画」を語るべきではないと思う。
まして軽々しく作れるものではない。
映画の「神」もしくは、映画の「悪魔」に見入られたものだけが、映画を語り、映画を撮る資格があるのだ。
願わくば、原田芳雄の「死」が、彼の代表作を見直すきっかけになり、それが多くの人に「日本映画の素晴らしさ」を再認識するきっかけになって欲しいと思う。
さらば心優しきアウトロー。ご冥福をお祈りします。
