冷たい熱帯魚〜心臓の弱い人は観ない方がいい、しかし映画らしい映画〜 | 大分のご当地アイドルSPATIO/オフィシャルブログ

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待望の園子温監督最新作「冷たい熱帯魚」を観た。

期待通りの「とんでもない映画」だった。

90年代に起きた「埼玉愛犬家連続殺人事件」を下敷きにした実録モノである。
とまあ一言で片付かないのが、トンデモ映画のとんでもないところなわけで、どこがどうトンでもないかというと・・・相変わらずの園監督作品、血糊の量が半端じゃない。

では血がドバドバのスプラッター映画かというと、もちろんそんな安物映画ではない。
一歩間違えば「悪魔のいけにえ」になりかねない内容ではある。

この映画は万人に勧められる映画ではない。
「心臓の弱い方はご遠慮下さい。」の注釈がついてもいいぐらいの紛れもないR18指定映画だ。
「心臓」というよりは「心」の弱い方は気をつけた方がいい。下手をすると「心」に変調を来すかもしれない。

ストーリーを簡単に書いておくと、
小さな熱帯魚屋を経営する社本信行(吹越満)とその妻、妙子(神楽坂恵)の2人は、娘の美津子(梶原ひかり)がスーパーマーケットで万引きしたため、店に呼び出される。その場を救ってくれたのは、スーパーの店長と知り合いの男、巨大熱帯魚屋、アマゾンゴールドのオーナー村田幸雄(でんでん)だった。
帰り道、強引に誘われ、3人は村田の店へと寄る。そこには村田の妻・愛子(黒沢あすか)がいた。
村田は、美津子にアマゾンゴールドで働くように勧め、翌日から美津子は女子従業員たちに交じって勤務をスタートさせる。
数日後、村田に“儲け話”を持ちかけられ、呼び出された社本。
そこには顧問弁護士だという筒井(渡辺哲)と、投資者のひとり、吉田(諏訪太朗)がいた。
高級魚のビジネス話に大金融資を逡巡していた吉田だったが、堅実そうな社本の存在も手伝い、契約書に押印。だが直後、愛子が飲ませたビタミン剤に入った毒で吉田は殺される。
「俺に逆らった奴は、みんなこうなっちまうんだよ」と社本を前に吠える村田。
豹変した村田と愛子に命じられるまま、社本は遺体を乗せた車を運転し、山奥にある怪しげな古小屋に辿り着く。
村田と愛子は、風呂場に運んだ死体の解体作業を慣れた手つきでやってのける。
細切れにされた肉と内蔵が詰め込まれたビニール袋、そして骨の灰。
何も知らない妙子と美津子を人質に取られた社本は、それらの処分に加担することになる。
やがて社本は、村田の暴走と共に想像を絶する地獄を体験してゆき、ついに……。

この映画は余程の映画好きか園監督のファンでなければ観ないだろう。
もし興味が湧いたなら、まず心の準備=予習が必要だ。

まず園監督の「紀子の食卓」と「愛のむきだし」ぐらいは観て、免疫をつけておいた方がいい。
あとはアカデミー賞を獲ったコーエン兄弟の「ノーカントリー」。
イーストウッド監督の「チェンジリング」。
日本映画では、今村昌平監督の昭和の犯罪映画の傑作「復習するは我にあり」。
長谷川和彦監督の数少ない傑作「青春の殺人者」。
深作欣二監督の実録モノ「県警対組織暴力」。
さらに出来れば、日活ロマンポルノの田中登監督最高傑作「実録・阿部定」。
最近では若松孝二監督の「実録連合赤軍・あさま山荘への道程」。

これらの作品名を聞いて、「あぁなるほどあの手の作品か」と納得出来る人なら、多分免疫が出来ているから大丈夫だし、この作品がこれら過去の名作に勝るとも劣らない傑作だと理解出来るだろう。

ハードルが高過ぎる?
そう、そのくらい観る人を選ぶ映画なのだ。

昨今のすぐテレビ放映を視野に入れて作られた軟弱な毒にも薬にもならない映画に嫌気がさしている真の映画ファンなら、これぞ映画にしか許されない過激表現=つまり映画らしい映画だと思えるはずだ。