アイドル出演映画その2/「告白」〜学校と家庭と言う名の戦場から目を背けるな〜 | 大分のご当地アイドルSPATIO/オフィシャルブログ

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CINEMA SCOPE/映画とアイドルの部屋-1

「告白」が「社会現象」と言っていいほどの反響を呼んだ。
なぜここまでの反響を呼んだのだろうか?
それは、誰もが今の学校や家庭を取り巻く「異常事態」に危機感を募らせているからではないだろうか?
学級崩壊。いじめによる自殺。未成年者の凶悪犯罪。無差別殺人。
家庭崩壊。親殺し。子殺し。

これらがここ数年、新聞の紙面を飾らない日がないと言っていいぐらい頻発している。これを「異常事態」と感じない人はいないだろう。
そして誰もが「なぜこうなってしまったのか?」の答えを求めている。

「告白」が凄いのは、その答えを理由なき殺人で娘を殺された被害者である女教師の視点と、加害者である男子生徒たちの視点から探ろうとしていることだ。
特に、愛娘を殺された母親の凄まじいまでの復讐の方法。
殺人に至るまでの加害者の身勝手な動機と、殺害後の無反省な態度は、これまであまり描かれる事がなかったものだ。

更には戦場の真っ只中にいながら、無神経な第3者でしかない若い熱血教師。
息子を溺愛する愚かなモンスターペアレンツの母親。
一見優等生な学級委員だが、心の闇を抱えている女子生徒。

かなりデフォルメされているようで、実は現実にいそうな登場人物たちが、絡み合いながら、視点を変えながら、「なぜこうなってしまったのか?」に迫っていく。

日本は戦後60年以上経って「平和ボケ」だと言われるが、実はこんな身近な「学校」や「家庭」が、凄絶な戦場になり、その最前線で大勢の子どもたちが命を落としているのではないだろうか?

この映画をどう観るかは、ひとそれぞれ違うかもしれない。
ある人は、あまりに過酷な現実に衝撃を受けるだろう。
ある人は、現実はこんなものじゃないと思うだろう。
女教師の凄まじい執念に背筋が寒くなる人もいるだろう。
加害者の少年たちに同情する者、共感する者もいるかもしれない。
この映画の凄さは、そんな視点の多様さにある。
ゆえに、観終わってから色んな思いが浮かび、しばし整理がつかず呆然となる人が多いのも頷ける。

松たか子の鬼気迫る演技が凄いのは言うまでもない。
加害者の男の子たちの追いつめられていく姿はひたすら痛々しい。
原作ではそれほど存在感を感じなかった学級委員の女子生徒が、映画では仮面を被った優等生として想像以上の存在感を放つ。
この役を演じた、演技未経験の「橋本愛」の美少女振りも特筆モノだ。

CINEMA SCOPE/映画とアイドルの部屋-3

$CINEMA SCOPE/映画とアイドルの部屋-2

この「目ヂカラ」と「凛」としたイメージは、必ずや大成する底力を秘めている。
あとは事務所の力と、いい作品と出会えるかどうかだろう。

さらに恐らく中島監督が一番苦労しただろうと思われるのが、「1年B組」という架空だが、現実にありそうな「崩壊クラス」を創造することではなかっただろうか?
オーディションの段階から相当綿密な計画性を持って人選し、一人一人にキャラを与え、一人一人が実際にいそうな子を演じることで、見事にありそうな「崩壊クラス」が誕生している。
この「クラス」が実は、誰がいつ加害者になっても不思議ではない、最も恐ろしいモンスターの巣窟なのだ。
監督がこの「クラス」を作り上げることにかなりの神経を使ったであろうことは、想像に難くない。そして見事に成功している。

ただ一つ疑問点を挙げるとすれば、スタイリッシュ過ぎる映像表現だろうか。
スローモーションを多用し、カメラアングルも斬新で、全体にブルーなトーン。これらのお陰でえげつないシーンもフィルターがかかり、それほどリアルではない。それが本当の当事者たちの地獄を描き得ていないのではないかということだ。
これが例えば若松孝二監督だったらどうだろう。恐らく吐き気を催すぐらいリアルな地獄絵図になるのではないだろうか?
ただそうなるとR15ぐらいでは済まない。間違いなくR18だし、これだけ多くの観客動員は成し得ないだろう。
つまりこの「スタイリッシュさ」は、いい面悪い面、両方持っているという事だ。
監督の意図は本当はR15にはしたくなかったはずだ。
真の戦場で戦っている当事者の中学生にこそ観てもらいたかったはずだから。
それを単に「血しぶきが飛ぶ」程度の表現でR15にしてしまう、当局の事なかれ主義も、KYな熱血教師同様、罪は重いと思う。

なんだか取り留めのない感想になってしまったが、それだけ一筋縄ではいかない作品だと言う事だ。
本年度、日本映画ナンバー1となり、各賞を総なめにする事は間違いない問題作である。