第12回北京スクリーニングが9月23~26日にわたって開催された。北京スクリーニングとは、広い中国の北京地域で製作された新作映画の上映会、いわば新作映画マーケットである。私は今年の1月から、中国、フランスとの共同製作の企画に係わっており、その会議とこのスクリーニングが重なったことから、このイヴェントに初めて参加した。


主催者の中国のこのスクリーニングに注ぐ意気込みはそうとうに強い。私たち、中国にとっての海外のゲストに、現在の中国映画の実力を強くアピールする意気込みに溢れていた。オープニング・セレモニーでは、それこそ現在の中国映画界のほとんどのVIPが顔をそろえていた。オープニング・セレモニーでは国家広播電影電視総局 電影事業管理局 局長 トン・ガン(童剛)がスピーチをした。また、私が7月の北京オリンピック直前にお会いしたときは、中国電影集団(チャイナ・フィルム)の国際担当役員で、その後、国家広播電影電視総局 電影事業管理局 副局長に昇進したラ・ペイカン氏、そして中国電影集団公司の董事長(会長)ハン・サンピン(韓三平)氏、中国電影合作制片公司、チャン・ジュン社長といったVIPたちである。実際、私が「映画データブック2008」で取材した方々がほとんど顔を揃えている。それは、そのとき、私があらゆる手を尽くして、なんとか約束を取り付けて訪ねた人たちだが、そんな多忙な人たちが、ここで一同に会しているのだ。ここからも、中国がこの上映に強い意欲もって立ち向かう意識が感じ取れる。


国家広播電影電視総局 電影事業管理局 局長 トン・ガン(童剛)氏


中国電影集団公司の董事長(会長)ハン・サンピン(韓三平)氏(左)とトン・ガン(童剛)氏


中国映画界の首脳によるオ^プニング・セレモニー


派手な演出のオープニング・セレモニー



北京スクリーニングの会場入口

今回のスクリーニングでは4日間にわたって57本の作品が上映された。会場は北京の繁華街、ワンフーチンにあるシネコンが使用された。例年、この上映に参加している、大連のフォーラムでご一緒したワコーの鈴木さんは、参加名簿に入っていたが、他のスケジュールと重なって不参加だった。余談だが、鈴木さんは、一昨年、この上映会で「トゥヤーの結婚」に出会って購入したら、翌年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したという。購入価格が非常に低かったことから、高額で買い戻したいという話しもあったらしいが、中国映画を愛する鈴木さんは、そこで利ザヤを稼ぐのではなく、自社で配給した。「トゥヤーの結婚」はル・シネマで公開され、成功を収めた。昨年のプサン国際映画祭の報告をこのブログでも紹介したが、そのとき、スター・サミット・アジアのイヴェントで、「トゥヤーの結婚」の主演女優のユー・ナンを紹介したが、実物の彼女はとても魅力的な女優だった。


この上映会には、前記した共同製作の企画に私が巻き込んだ、アジアンブルームの代表であり、田辺弁慶映画祭の仲間、杉浦幹男氏も同行した。しかし、日本からのゲストは我々をのぞくと、ほんのわずかだった。参加名簿には名を連ねていても、実際には来ていない。現在の日本の外国映画市場は超氷河状態で、バイヤーは本当に少ない。さらに、日本市場で受け入れられる中国映画は非常に限られている。かつて、キネマ旬報社では「山の郵便配達」(00)の買付に参加して大きな成功を収めたことがあるが、同作や前記した「トゥヤーの結婚」など、地方を舞台に作品や、大型時代劇アクションなどである。しかし大型映画はリスクが高く、最近の日本の配給会社も尻込みする。スクリーニングには都市を舞台にした娯楽映画が多く出品されていたが、日本とはかなりズレがある。私の知人が働く天津撮影所から「カンフー・ヒップホップ」という作品が出品されていた。「カンフー君」、「カンフー・パンダ」、「カンフー・ダンク」と“カンフー~シリーズ”が不発もあったが連発されていたので、あわよくばと杉浦氏と見に行った。残念ながら、この作品、昔の青春映画という趣で、珍品として紹介するには真面目に作られすぎていた。“イヤーッ、中国の若者のヒップホップって、こうなんだ・・・”と杉浦氏はうれしそうだった。それでも、上映作品の中には興味深いものも数本あり、なんらかのかたちで日本に紹介したいと思う。