第7回中国、韓国、日本 カルチュアル・インダストリー・フォーラムが中国の大連で9月16~18日にわったて開催された。これは3ヵ国の持ち回りで開催される文化フォーラムで、ゲーム、アニメ、音楽の分野で会議が行われてきたが、今年は、主催国の中国の要請で、映画とパフォーマンスが加えられた。このフォーラムの目的は、3ヵ国の交流と今後の共同事業に向けた会議である。


 フォーラムは、3ヵ国の代表がそれぞれの国の政策を発表した。日本からは経済産業省商務情報政策局 大臣官房審査官(IT戦略担当)、吉崎正弘氏、同局文化情報産業関連課、課長補佐、野沢泰志氏が檀上に立った。中国代表として壇上に立った清華大学広報伝播学院教授、イン・ホン氏の「中国映画ドラマ産業の現状および趨勢」と題された発表は、日本ではなかなか得られない情報で、私にとっては貴重なものだった。この講演については、イン教授から、採録の許諾をいただいたので、どこかで発表したいと考えている。その後、各分科会にわかれ、3ヵ国から3名ずつの発表と会議が行われた。日本から映画の分科会に参加したのは、東光徳間で中国映画祭を長年手掛け、現在は(株)ワコーで中国映画を担当する、中国映画通の鈴木一氏、DCAJの国際室長、浪越徳子氏、そして私の3人である。映画の分科会は今年から始められたこともあるのか、事前の情報交換もなかったことから、テーマが絞られていなかった発表は散漫な印象が否めなかった。しかし、3ヵ国会議と中国のオブザーバーを交えた意見交換では、それぞれの国の事情と、どのように共同での事業が展開できるかという話しが活発に交わされた。特に韓国から参加した「青燕」のプロデューサー、イ・チユン氏は私と共通の知人も多く、また仕事のレベルも近いものがあって、通じる話しがあった。



経済産業省商務情報政策局 

大臣官房審査官(IT戦略担当)、吉崎正弘氏


 映画分科会は1回目ということもあるためか、挨拶、意見交換という感じで、深いところまで話し合うことはできなかった。せっかくこのようなイヴェントを行うなら、今後はあらかじめテーマを絞り、そのテーマに合わせた人選で会議を行えば、中期的に具体的な成果にまでたどりつけるのではないか。


 2日目は、中国の製作会社とのミーティングが設けられた。集められた会社は比較的小規模の会社が多く、彼らの情報量は非常に限られており、共同事業を展開するというより、一方的に日本に期待しているところも多いい印象を受けた。とにかく、日本、韓国、中国の人気俳優を集めてテレビ・ドラマをつくれば何とかなるだろうというような発想で、資金については、日本に頼ろうとするところが明白だった。もし、この規模の会社が集められているのなら、彼らを対象にした、日本の映画、テレビ・ビジネスのセミナーを行ったほうが有益だったのではないか。
 確かに3ヵ国の持ち回りで、ホスト国の企画で進められることから、継続的なテーマを取り上げることは難しい面もあるかもしれないが、せっかくの機会であることから、このフォーラムを通じて具体的な成果を目指してほしいものである。


 ところで、わたしは現在、1930年代の中国を背景にした作品に係わっており、大連はその時代の重要な都市であった。大連の自然科学博物館は昔の満鉄本社の建物をそのまま使っており、いろいろと参考になった。今回、このフォーラムに参加することで、大連という都市に触れることができたのは、大きな成果だった。その意味では、このフォーラムはわたしのとっては有益なものだった。