こんにちは!
6月12日(土)から18日(金)までの第2週目は、
「東映アニメーション 松本零士&伝統の日本アニメWeek」。
今回このブログでご紹介するのは、
『白蛇伝』『太陽の王子ホルスの大冒険』『長靴をはいた猫』の3本。
いずれも日本アニメ史に燦然と輝く古典傑作ですが、
それぞれに個性的な作品ばかり。
今から半世紀も昔、1958年に公開された『白蛇伝』。
中国の民話を題材にした、日本最初のカラー長編アニメです。
宮崎駿さんも本作を観たことをきっかけに、
アニメの道を志したらしいです。
制作には、若かりし頃の大塚康生さん(『ルパン三世』『未来少年コナン』)、
りんたろうさん(『銀河鉄道999』『幻魔大戦』)など
以降アニメの歴史を作っていく巨匠たちも参加。
また名優・森繁久彌さんが一人で何役もの声を当てていることにも注目です!
演出面では50余年の隔世を感じる部分もありますが、
それは全体の一部に過ぎません。
キャラクターの躍動感は、今観ても息を呑んでしまいます。
特に登場人物の視線の動き、目の細め方、首のかしげ方など
繊細な動きの表現は魅力に溢れ、新鮮です。
それとパンダやネコなど動物キャラの面白さ、可愛らしさ。
これはもう観ているだけで楽しい。抗えないです。
それにしても当時は、現在のように確立された
アニメ制作体勢もあまりなかったようです。
この一本の映画を作るために、アメリカのアニメを研究し、スタジオを作り、
人材を集め、習作のような短編を何本も制作して体勢を整え…と
舞台裏には想像を絶する苦労もあったはず。
未開の表現分野だったアニメーションに高い理想を抱き、
それを実現させたスタッフの方々の情熱に感嘆。
『太陽の王子 ホルスの大冒険』(82分)
『白蛇伝』から10年後の1968年、日本のアニメが
独自の表現方法を確立するターニングポイントにある傑作。
製作期間3年・総作画枚数15万枚という渾身の作品で、
当時は興業的に振るわなかったものの、次第に評価を高めていきました。
この作品で注目したいのは、深い業を背負うヒロインのヒルダ!
一人ぼっちのヒルダは、同じように天涯孤独だった
主人公ホルスから救いの手を差し伸べられます。
しかし彼女は、悪魔の妹である自分の宿命に逆らえず、
真心に反して彼を罠に陥れてしまう…。
そんな優しく可憐な彼女の苦悩と葛藤に注目です。
『赤毛のアン』『火垂るの墓』など名作を多数手がけた高畑勲さんが
劇場アニメ初演出(当時は監督という役職はなく、演出が兼任していたようです)。
そして大塚康生さん、宮崎駿さんも
メインスタッフとして制作に携わっています。
『太陽の王子 ホルスの大冒険』の主要スタッフが続けて制作。
手に汗にぎる第一級冒険活劇として大ヒットとなった1969年作品。
正義の味方も、悪役も、それぞれが魅力たっぷりに描かれています。
特にネコのペロは東映アニメーションのマスコットキャラクターになり、
長いあいだ愛され続けています。
ところでペロがネズミを助けた咎で裁判にかけられ、
助けた理由を「月が青かったから」とうそぶいて死刑宣告
…まるでカミュ『異邦人』へのオマージュと言えますね。
ということで、シネマイクスピアリでお待ちしてます!!
(c)東映アニメーション