6月19日はジーナ・ローランズの生誕94周年でした。
(1930年6月19日生まれ)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。
『オープニング・ナイト』(1978)
監督・共演 ジョン・カサヴェテス
撮影 アル・ルーバン
【あらすじ】
舞台の名女優マートルは演出家ヴィクターや俳優モーリスら気心知れた仲間たちと新作『二番目の女』に取り組んでいた。
ある夜の公演後、群がるファンをかき分け進むマートルに抱きつく一人の少女。
“アイ・ラヴ・ユー”を連呼しながら引き離された彼女は走り出すマートルの車を見送り、対向車に跳ねられ即死する。
マートルは精神に変調を来たし、酒の量も増え、死んだ少女の幻覚を見るようになる。
舞台上では気紛れなアドリブが飛び出すが、これは幻と戦う彼女の切実な叫びの顕われだった。
満身創痍の彼女はブロードウェイ初日の晩、遂に失踪してしまう。やがて現れた彼女だったがしかし、完全な泥酔状態にあった……。
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ジーナ・ローランズの最高傑作はこちらだと思います。
女優としての巧さは、いったんさておき、ジーナ・ローランズが本当に美しいのです。
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たいていの論者は、「演技派」としてのジーナ・ローランズを語ると思いますが、そうした演技論には、私は興味ありません。
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ジーナ・ローランズは、正統的なブロンド女優です。
ジーナより4歳年長のマリリン・モンローに匹敵するほどの、プラチナブロンドヘアです。
この作品でのジーナの髪は、時に乱れることがあっても、ジーナは、その髪の乱れを演技に用いようとはしません。
「女優は髪よ」と言わんばかりの豊かな髪こそが、ジーナを特徴づけています。
後半でジーナは、顔に傷を負うのですが、それが視覚上あまり効果を持たないのは、ジーナは髪で勝負しているからでしょう。
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そして、特徴的な上目遣いと、その上にすっと延びる眉。
眉も、女優史上類をみない垂れ眉なのです。
(なお、1960年代のジーナは、眉は垂れてはおらず、強気のイメージさえありました。)
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更には、あまり開かれることのない口元。
ジャンヌ・モローは、口を大きく開け、その見事な歯並びを見せつけてくれましたが、ジーナの口は大きく開かれることは多くありません。
とはいえ、一文字にキッと結ばれているわけでもなく、何やら所在なさげなのです。
この作品では、やや明るいピンク色の口紅が塗られていることもあり、少女のような繊細なイメージさえ醸し出しているのです。
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私たちは、名女優と言えば、肝っ玉母さんのような豪快さをイメージしがちです。
アンナ・マニャーニだったり、ベティ・デイヴィスだったり、ジャンヌ・モローがそうしたときの、モデルになるでしょう。
(日本や韓国の大御所女優にもそうしたタイプがいます)
しかしながら、それは舞台女優のステレオタイプを引きずったイメージであり、映画女優の真のイメージではありません。
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ここでのジーナ・ローランズは、いくら煙草をスパスパと吸っていようと、泥酔状態にあろうとも、大胆さや強さなどはありません。
その白い顔に刻まれる表情は、ひたすらに繊細で弱々しく、ピンナップガールのような美しい髪で画面を魅了する女優なのです。
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ある意味でそうした、アンバランスさこそが、ハリウッド映画崩壊後の映画女優の美徳なのかもしれません。
しかし、ハリウッド崩壊後であっても、アメリカ映画の豊かな伝統の下にあると思わせるのは、素晴らしいハッピーエンドで映画が終わるからです。
たしかに、彼の映画では、カサヴェテス自身はいうまでもなく、ジーナ・ローランズを始めとして、ベン・ギャザラ、ピーター・フォーク、シーモア・カッセルといった第一級の役者たちや、ときには自分の母親をも含めた素人たちが演じる登場人物が、驚くべき存在感をもって見ているものに迫ってくる。
だが、それは、映画で「優れた演技」とみなされているものとはまったく異質のものである。
あらかじめ想定された人物のイメージに満遍なくおさまったりはせず、その枠組みを当然のことのようにふみはずしてしまう。(...)
カサヴエテスの強靭な神経は、自分が演出している限り、また信頼している役者たちがそこにいる限り、とめどもない横滑りと思われたものさえが、滑稽な事態を収束せしめるに充分だと、信じて疑わない点に存している。
実際、ついに初日の幕が上がるシーンをラストに捉えた『オープニング・ナイト』の場合が典型的だろうが、彼には収拾不能の状況というものは存在しない。
ハリウッドから何度も手痛い仕打ちを受けていながらも、カサヴェテスは本質的にハッピーエンドの作家なのであり、それも、たとえば『ザ・プレイヤー』のロバート・アルトマンのように、シニカルな居直りによるものではないのである。
(蓮實重彦)
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