来る5月29日は、ロミー・シュナイダーの没後42周年となります。
(1938年9月23日生誕 - 1982年5月29日死没)
それを記念して、ロミーの作品を年代順に紹介しています。

 


こちらは、ロミーがセザール賞最優秀主演女優賞を受賞した作品ながら、日本未公開の作品です。

 

『大事なのは愛すること』(L'important c'est d'aimer, 1975)
監督 アンジェイ・ジュワフスキ 
共演 ファビオ・テスティ、ジャック・デュトロン、クラウス・キンスキー
撮影 リカルド・アロノビッチ
音楽 ジョルジュ・ドルリュー

【あらすじ】
ゴシップ雑誌のカメラマンのセルヴェは安っぽいポルノまがいの映画で日銭を稼ぐナディーヌに一目惚れする。セルヴェは彼女を救うためギャングから金を借りて舞台に出資し、彼女に役を与える。ナディーヌもセルヴェに惹かれるが、同時に夫のジャックにもまた道義的な責任を感じていた...

 

ロミー・シュナイダーが第1回セザール賞最優秀主演女優賞を獲得した作品です。

なお、この年のノミネートされた女優はフランス映画界のトップ女優が勢ぞろいしています:

  • イザベル・アジャーニ『アデルの恋の物語』
  • カトリーヌ・ドヌーヴ『うず潮』
  • デルフィーヌ・セイリグ『インディア・ソング』

ロミーはこの後1979年にも『ありふれた愛のストーリー』で2回目のセザール賞を受賞しますので、1970年代後半のロミーは映画女優としての名声の頂点にあったと言えましょう。


ロミーと監督のズラウスキーとが激しく対立し、撮影現場は大変荒れたそうです。


ロミーの役ナディーヌは、落ちぶれた女優です。
それは、ロミーの初のフランス映画である『島の戦い』(Le combat dans l'île, 1962)を思い出させます。

ヴィスコンティ作品での華麗な貴族や、ハイブランドを身にまとったブルジョワジーの女といった役どころから大きく異なり、派手なつけまつげで、前作の『地獄の貴婦人』のような露悪的な役どころかと思う程です。
セミヌードシーンも2回ほどあります。

ロミー自身はいないシーンですが、ドラァグ・クイーンが登場したり、乱交パーティシーンがあったりして、この時代特有のスキャンダリズムが漂っています。

 














フランス語字幕で一度観たきりなので、詳しい論評は差し控えますが、セザール賞最優秀主演女優賞受賞の前の時点であっても、ロミー自身が以下のようにコメントしているほどです:

「役柄もシナリオも、凄い可能性を秘めてると思えたから、引き受けたの。間違ってなかった。デビューして以来最高の演技だったって言われるけど、私もそう思う」