ジュリエット・ビノシュ以降のフランス現代女優を取り上げています。
今日は、セシル・ドゥ・フランスです。

セシル・ドゥ・フランス/Cécile de France
1975年7月17日 ベルギー・ナミュール生まれ

  • 6歳で初舞台を踏み、その後ベルギーのアマチュア劇団で経験を積む。
  • 17歳からパリで演技の勉強を始め、短編映画や舞台、テレビで活躍するようになる。
  • 2001年 リシャール・ベリ監督作でヒロインを務める。
  • 2002年 『スパニッシュ・アパートメント』(02)でセザール賞有望若手女優賞を受賞。
  • 2005年 『ロシアン・ドールズ』セザール賞助演女優賞を受賞した。
  • 『ハイテンション』(03)、『モンテーニュ通りのカフェ』(06)、『シスタースマイル ドミニクの歌』(09)などフランス映画を中心に、ジャッキー・チェン主演『80デイズ』(04)やクリント・イーストウッド監督作『ヒアアフター』(10)などアメリカの作品にも出演している。

『ある秘密』(2007)
監督 クロード・ミレール
共演 リュディヴィーヌ・サニエ、ジュリー・ドパルデュー、マチュー・アマルリック、パトリック・ブリュエル
撮影 ジェラール・ド・バティスタ

【あらすじ】
1955年夏、7歳のフランソワ・グランベールは、運動万能の母タニアと父マキシムに対し、運動の苦手な自分を引け目に感じる内向的な少年で、空想の中で、運動万能の兄を作り上げていた。
14歳のフランソワは両親の過去の秘密に気づき始める。
家族同様の知人ルイズは、ついに彼の両親の過去の秘密を彼に明かす。
それはフランスの戦後の世論が20年間封印し、否認してきた不都合な歴史をひもとくことでもあった

 

トリュフォーの弟子のクロード・ミレールによる佳作です。
フランス映画の歴史物は、大仰なだけの場合がありますが、クロード・ミレールは奇を衒わず、かといって、退屈することがなく、久しぶりに見ごたえのある作品でした。


物語は、前半くらいで種明かしされており、いつどのように、セシル・ドゥ・フランスとパトリック・ブリュエルとが結ばれ、主人公が生まれるのか、そして「下品で嫌な気持ちにさせるような演出だけはやめてほしい」と観る者は思います。

(黄金期のハリウッド映画ではそんな気になることは皆無ですが、1960年以降の映画については、多くの映画に失望させられたので、傑作でなくていいから、最後まで正視に耐えうる映画であってほしいという思いがあります)


そのクライマックスのベッドシーンは、じっさい、セシル・ドゥ・フランスのヌードシーンはありながらも、下品さとは無縁でした。

 




それにしても、セシル・ドゥ・フランスの圧倒的な存在感はどうでしょう。

ベリーショートヘア(まさにセシルカット。ただし、1920年代風でもあります。)、大きな黒目、端正な顎のライン・・・いずれも、ジーン・セバーグの再来かと思う程の瑞々しさに満ち溢れています。
高い身長もあって、リュディヴィーヌ・サニエ、ジュリー・ドパルデューよりも存在感が強いです。


















国境を越えた家で、パトリック・ブリュエルらと再会した夜、食事の後に、リビングで各自くつろいでいるときに、家主がドイツ人によるユダヤ人の収容の話があり、女子供も容赦しないのだと、セシル・ドゥ・フランスは聞かされます。
そこで、パトリック・ブリュエルの妻であるリュディヴィーヌ・サニエに、悲劇が待っていることに慄然としたかのような表情となります。
その後、セシル・ドゥ・フランスは、ランプを持って、2階へと上がり、パトリック・ブリュエルの部屋のベッドを一瞥して、自らの部屋に帰り、鏡を自らの顔を見るのです。






















そこでの照明の素晴らしさは、トリュフォーの『終電車』でのカトリーヌ・ドヌーヴを見るようです。
炎による柔らかい光が、彼女に強い陰翳を作ります。

セシル・ドゥ・フランスの顔つきには、ユダヤ人の運命への嘆きや哀しみがあるだけでなく、そんな中にあっても、心の底で不安を埋める存在として他人の夫を求めてしまう女の燃えあがる感情もあるように見えます。

だからこそ、先のクライマックスのベッドシーンで、セシル・ドゥ・フランスは先のベッドで、パトリック・ブリュエルを強く求めるのです。

フレンチポルノなどとは全く異なる、真に上質で、かつリアリティのある映像芸術をここで目にすることが出来ます。



















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