本日から、ジュリエット・ビノシュ以降のフランス女優について取り上げています。
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こちらは、『汚れた血』(1986)に続く、ジュリー・デルピーの代表作の1つです。
『トリコロール/白の愛』(1994)
監督 クシシュトフ・キエシロフスキー
共演 ズビグニエフ・ザマホフスキ
撮影 エドワード・クロシンスキー
【あらすじ】
ポーランド人の美容師カロルは、性的不能を理由にフランス人の妻ドミニクに離婚を求める裁判を起こされる。
言葉も通じない異国の地で、パスポートも取り上げられ、トランクひとつで寒空の下放り出されたカロルは、日銭のためにメトロの通路で故郷の音楽を奏でているとき、同郷のミコワイという男と知り合う。
ミコワイの手助けを得て、命からがらワルシャワの兄のもとに帰りついたカロルは、妻ドミニクへの復讐を企てるが……
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ジュリー・デルピーは主演ながらも、やや出番が少なく、主演のカロルが中心のストーリーです。
しかしながら、ジュリー・デルピーは驚くべき存在感を示しています。
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特に、そのブロンドの髪の揺れは、いにしえのハリウッドスターのヴェロニカ・レイクを思い出させます。
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家を追われた性的不能な夫カロルが、深夜ジュリー・デルピーの店に忍び込みます。
早朝にジュリー・デルピーは、ソファで眠り込んでいるカロルを発見するのですが、その朝の光と夜闇とが混在するその空間で、ジュリー・デルピーのブロンドヘアと白い肌が華麗に浮かび上がります。
その後ジュリー・デルピーは、カロルとやり直せるかと性交を試みるのですが、失敗に終わります。
そこで、ジュリー・デルピーはカロルへ対する怒りや侮蔑を露わにするのですが、闇に差し込む光を受け止める、ジュリー・デルピーの白い肌と、その陰影は、性的な欲求不満を抱えた妻の通俗的なイメージとかけ離れた妖艶なものです。
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その妖艶さは、硬質な妖艶さです。
ジュリー・デルピーの顔の白さは、幽霊のような不気味さと、人形のような冷やかさがあります。
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決別をカロルに伝えるときに、カロルを凝視する瞳が、まるで眼窩から浮き出してくる様子は、下手をするとホラーのようになる一歩手前で、とどまっているのが、この作品がまだ映画が終わっていない時代であることを示しています。
それにしても、見事な撮影です。
ジュリー・デルピーは、最後のクラシック映画の女優かもしれません。
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