本日1月11日の岡田茉莉子の生誕91周年を記念して、岡田茉莉子の作品を紹介しています。

 

『秋津温泉』(1962)松竹
企画 岡田茉莉子
監督 吉田喜重
撮影 成島東一郎
共演 長門裕之

【あらすじ】        
昭和20年の夏、岡山県の山奥の温泉場“秋津荘”の娘新子は、河本周作を自殺から救った。
周作は東京の学生だが、暗い時代に絶望し、結核に冒され、岡山の叔母を頼ってやって来たのだった。
新子と周作の関係はこれから始まった。
それから三年、周作は再び秋津にやって来た。
荒んだ生活に蝕まれた体の療養だが、岡山の文学仲間と酒を飲み歩き、終いには新子に「一緒に死んでくれ」と頼んだ。
そんな周作に惹かれる新子は、二人で心中を図った。
しかし、新子の余りにも清い健康な心に周作は、生きることの美しさを取り戻し帰っていった…

 


この作品は、岡田茉莉子の映画出演100本目を記念した作品で、松竹からの発案で、自らが企画し、プロデューサーのようなことまでやった作品です。
原作を選び、監督は吉田喜重に依頼し、一度断られたものの、脚本を手掛けることを条件に吉田喜重が引き受けました。

 

この作品の撮影後、岡田茉莉子は吉田喜重と結婚し、その後いくつもの2人の作品が作られていきます。
また、この作品は当時いくつかの賞を受賞したいこともあり、岡田茉莉子にとって、最も重要な作品ともなっています。


岡田茉莉子は、自伝の中で、芸者や水商売の女やアプレゲール娘(戦後の現代っ娘)の役ばかりでうんざりしていたと語っています。
成瀬巳喜男の『浮雲』(1955)でも納得のいく演技が出来たにもかかわらず、やはり芸者の役かと感じていたそうです。

そんな彼女が、フリーになり、多くの実績を積んだあとに選んだ、ある女の映画です。


一見すると、文学青年上がりの長門裕之が物語を牽引しているかのようですが、長門の役は、監督自身が言うように「太宰治のパロディ」として批判的に描かれているます。

一方、岡田茉莉子は、横浜の学校を卒業し故郷に戻り、温泉宿の娘となり、その後おかみとなる役です。
芸者やアプレゲール娘とは異なり、1人の独立した女として、長門裕之と関係を結ぶのです。


その意味で、温泉というのは、男女が裸になれる空間です。
(むろんヌードシーンなどありません)
また、岡山の北にある地の冬の寒さ、東京から切り離された地方という設定も、男女の衝突や葛藤が生まれる空間でもあるのでしょう。











桜や梅を捉えているカラー撮影であるにもかかわらず、豪華さや生々しさはありません。
ロマンティックな盛り上がりがあまりなく、何やら夢うつつな空間です。






長門裕之は、初めて岡田茉莉子と夜を過ごした後に「あなたがわからない」と言うと、岡田茉莉子は「わからなくたっていいの。私だけがわかっていれば。」と軽やかに笑い、長門裕之から身を離していきます。








じっさい、その後の岡田茉莉子の自殺も、長門裕之のことはお構いなしに、さっさと死んでいくというものです。

岡田茉莉子は、古くて、ステレオタイプの「文学青年」を愛しながらも、距離をとった自律的な存在なのです。
















31歳になった岡田茉莉子のクローズアップはことのほか美しく、戦後日本女優史の貴重な一頁を観る思いがします。






































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