9月22日は、アンナ・カリーナの生誕84周年でした。
それを記念して、アンナ・カリーナのゴダール作品を紹介しています。
(1940年9月22日 - 2019年12月14日死去, 79歳没)
『愛すべき女・女(め・め)たち』(1967)
第6話『2001年愛の交換<未来>』(『未来展望』)
監督 ジャン=リュック・ゴダール
共演 ジャック・シャリエ、ジャン=ピエール・レオ
撮影 ピエール・ロム
【あらすじ】
男女の恋愛禁止となった近未来。一組の男女が出会い、愛の行為を発見していく話。
■
オムニバス形式で収められた短編です。
アンナ・カリーナとゴダールの作品は長編は7本ですが、最後に1本短編があり、この作品がそれにあたります。
- 『女は女である』(1961)
- 『女と男のいる舗道』(1962)
- 『小さな兵隊』(1963)
- 『はなればなれに』(1964)
- 『アルファヴィル』(1965)
- 『気狂いピエロ』(1965)
- 『メイド・イン・USA』(1966)
- 『愛すべき女・女(め・め)たち』(1967)
そうして見ると、アンナ・カリーナとゴダールとの共演作は7.5本と呼ぶべきで、それはかのフェリーニの『8 1/2』を想起させます。
※8 1/2とは、フェリーニとして8.5本目の作品という意味だからです。
(0.5本は、第1作『寄席の脚光』が共同作品だったため)
■
さて、この作品は、未来の宇宙旅行を舞台としており、『アルファヴィル』を思い出させます。
未来の宇宙旅行と言っても、ゴダールの映画は、人を食ったような演出で、モノクロームで撮影された空港で、「放射能レベル異常なし」「ソヴィエトカラー」と無機質なアナウンスが入ることで、現実が異化され、未来の宇宙旅行という設定に、あっさり納得してしまいます。
(思うに、そうした強引さは、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』以来のフランス映画の1つの流れのように思います。近年の映画は、そうしたSF的なファンタジーが無く、どれもこれも、現実の延長線にしか見えません)
■
ここでは、恋愛が禁止されているという未来の設定です。
そこでアンナ・カリーナは、『女と男のいる舗道』と同様に、売春婦の役で登場します。
ジャック・シャリエは、はじめある売春婦を指名するのですが、何もしゃべらないことに不満を持ち、チェンジを依頼して、アンナ・カリーナが登場するのです。
アンナ・カリーナは、今度は「文学の星」から来た設定で、全ての愛の言葉を知っているのですが、肉体的な愛は提供しないというのです。
(ゴダールのアンナ・カリーナへの偏愛が如実に表れています)
ジャック・シャリエは、「君の方針は分かった。でも、言葉と肉体的な愛を同時に提供できる場所があるよ。それは唇だ。」と言い、アンナ・カリーナは「唇なら、2人が話せて同時に触れあえるのね。」と言い、2人が唇をわずかに重ねる・・・ というストーリーです。
■
ゴダールの映画は、常に哲学的な側面があります。
そして、いつもテーマとなっているのは、二者択一することの愚かさです。
ここでは、言葉と肉体との分業が愚かであり、接吻とはそれを解消する場所であると言うのです。
『軽蔑』では、B.B.は、夫ピッコリに向かって、自分の乳房と乳首とのどちらが好きかと尋ねます。
そうすると、ピッコリは「わからない、両方とも好きだ」と答えます。
■
ゴダールは、いつもその手の思索をテーマとしていますが、重要なのは、それが正しいかどうかと言うよりも、それを、ハリウッドと全く違う文法で語っていることです。
1950年代末を生きていたゴダールにとっては、ハリウッドは逆立ちしても敵わない存在で、全てのラブシートが撮られてしまったという諦念がありました。
であるがゆえに、ゴダールは、独自のラブシーンを作り上げようと、こうした思索を物語にして、そこでは、言葉と映像の実験をやってみたのです。
■
この映画の実験とは、ジャック・シャリエとアンナ・カリーナとが接吻した瞬間に、モノクロームがカラーに変わり、アンナ・カリーナが何故か真正面を向き、微笑むというものです。
シンプルながらも馬鹿馬鹿しさえ感じられるこの荒唐無稽な演出は、実はハッピーエンドで、ゴダールの映画にしては稀有なものです。
■
ゴダールは当時、アンナ・カリーナとは離婚をしていたにも関わらず、主演女優には起用していて、この作品が、その作品群の最後の(7.5本目の)作品であったのです。
そんな最後の作品で、ハッピーエンドが描かれるのは、少し胸が締め付けられる思いがします。
#映画女優
#女優志願
#女優志望
#女優好きな人と繋がりたい
#エレガンス
#最も偉大な女優
#アンナカリーナ
#フランス女優
#フランス映画
#ゴダール
#デンマーク女優
#デンマーク
#cinemaclassic
#classicmovies
#vintagemovie
#actress
#elegance
#actrice
#annakarina
#jeanlucgodard
#denmark