来る5月14日は、ケイト・ブランシェットの55歳の誕生日です。
(1969年5月14日生まれ)
それを記念して、ケイト・ブランシェットの作品を紹介しています。
(過去の投稿の再掲となります)

 

『バーナデット ママは行方不明』(2019)
監督 リチャード・リンクレイター
共演 ビリー・クラダップ、クリステン・ウィグ
撮影 シェーン・ケリー
Annapurna Pictures

【あらすじ】
シアトルに暮らす主婦のバーナデット。
夫のエルジーは一流IT企業に勤め、娘のビーとは親友のような関係で、幸せな毎日を送っているように見えた。
だが、バーナデットは極度の人間嫌いで、隣人やママ友たちとうまく付き合えない。
かつて天才建築家としてもてはやされたが、夢を諦めた過去があった。
日に日に息苦しさが募る中、ある事件をきっかけに、この退屈な世界に生きることに限界を感じたバーナデットは、忽然と姿を消し、南極へ向かったのだった──!



2023年5月に公開された『TAR/ター』が2022年の作品だったので、2023年9月に公開された作品はその後製作されたものと思いきや、なんと2019年の旧作であり、『オーシャンズ8』(2018)の翌年の作品でした、

しかしながら、『TAR/ター』よりも、『ナイトメア・アリー』(2021)よりも、もちろん『オーシャンズ8』などより遥かに、楽しめる映画でした。


ここでのケイト・ブランシェットは、シアトルに住む、元建築家の主婦を演じています。
主婦業は順調と思われたものの、娘の寄宿学校入りを目前に、徐々にほころび始めるのです。
そして、シアトルがそもそも失敗だったのだと、悪態をつき、セラピストから逃げ、南極大陸にたどり着くという逃走の物語なのです。


倦怠した主婦というテーマ設定は極めて現代的です。

薬物、カースワード(罵りの言葉)、崖崩れ、近所とのトラブル、代行秘書などが、コメディタッチで描かれますが、実は精神的に崖っぷちに追いやられた狂気一歩手前の、現代のリアリズムが前半です。

人間嫌いを標榜するケイト・ブランシェットは多くのシーンでクールにサングラスをかけているのが特徴的です。


ケイト・ブランシェットはコメディエンヌとしても巧みなので、こうした悲惨さは、彼女の軽やかな演技によって、柔らかく表現されていて、笑いを誘いながら、深刻さを伝えることに成功しているように思います。
(薬局で必要な薬を処方してもらえず、ケイト・ブランシェットはソファで仰向けに寝てしまうシーンなど、その最たるものでしょう)

 

観る者は、笑いながらも、その深刻さに軽い戦慄を覚えます。

(ところで、ケイト・ブランシェットの低く感情を排した声は、ふとイザベル・ユペールを想起させます。
そして、酷い現実を前にして、「あぁなんてこと」と嘆息するのは、イザベル・ユペールが何度も演じてきた演技です。)

 

精神状態のもろいケイト・ブランシェットは、娘と運転しながら、シンディ・ローパーの『Time After Time』歌い、ふと涙ぐむほどです。
それも感動的です。


しかしながら、そうした取り繕いも限度があり、決定的な一瞬が訪れた後の、ケイト・ブランシェットからは、クールな美貌は失われ、絶望と悲惨がケイトを襲います。






















後半は、ユニークでご都合主義が満載の展開ですが、それも決して悪くありません。

『ライフ・アクアティック』(2005)でのビル・マーレイの海洋探検家チームのように、揺れる大海を、ケイト・ブランシェットは船酔いしながら渡り、なんとか南極大陸前についたケイト・ブランシェットは、カヤットで南極海を漕ぎます。(それがオープニングシーンです)

そこから、ひょんなことから南極点での建築プロジェクトこそが、自分の再生のきっかけになるのではと、ケイト・ブランシェットは、南極大陸の基地にわたり、南極点を目指すのです。
南極大陸プロジェクトにかかわる科学者をバーでたらしこみ、こっそり船に乗り込むケイト・ブランシェットのアクションこそ、この映画の最大の美徳かもしれません。


そうして、崖っぷちの息苦しさから解放されたケイト・ブランシェットのところに、嘘のように、娘と夫が顔を出し、映画はクライマックスを迎えるのですが、その荒唐無稽な唐突さも最高です。

 

そこでのケイト・ブランシェットには、クールビューティの片鱗などなく、娘と夫と三人で抱き合い、南極大陸に腰掛け笑い合う姿は、お涙頂戴ではあるのですが、適度にセンチメンタルなだけで、しっかり感動的です。










子役のエマ・ネルソン、隣人役のクリステン・ウィグとの素晴らしいケミストリーも素晴らしいし、

この映画には映像的なギミックは多くはないのですが(それは、趣向を凝らした『TAR/ター』と対極にあります)、奇をてらわず、一直線に南極=生きがいを目指すケイト・ブランシェットの運動は、観る者の心を動かすハッピーエンドがあります。


ふと思うと、近年の映画でストレートに楽しめるハッピーエンドは久しぶりであり、貴重の体験を与えてくれる映画です。

 

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