来る7月1日は、シルヴィア・シドニーの没後25周年です。
それを記念して、彼女の作品を紹介いたします。
(1910年8月8日生誕 - 1999年7月1日死没)

 

『激怒』(1936) 
監督 フリッツ・ラング
製作 ジョセフ・L・マンキーウィッツ
共演 スペンサー・トレイシー
撮影 ジョセフ・ルッテンバーグ

【あらすじ】        
婚約者に会うため車を走らせていたジョーは、途中で誘拐犯と間違えられ投獄されてしまう。
犯人が捕まり激昂した市民は、ジョーのいる拘置所に放火するが…

 

フリッツ・ラングが、ドイツからハリウッドに亡命してきてからの第1作となります。
 

製作は、その後映画監督として活躍するジョセフ・L・マンキーウィッツ。(『クレオパトラ』等)
撮影は、MGMの名匠ジョセフ・ルッテンバーグ。(『哀愁』『フィラデルフィア物語』『ガス燈』)
共演は、キャサリン・ヘップバーンとのコンビで知られる名優スペンサー・トレイシー。

書いているだけでも、手が震えるハリウッド屈指のキャストです。


普段、このブログ/SNSでは、脚本や作品のテーマについては取り上げませんが、フリッツ・ラングとシルヴィア・シドニーの3部作については、テーマについて触れざるを得ません。

この作品のテーマは、民主主義の恥部としての群集ヒステリーです。
真の犯人か定かではない、単に拘留されている男を、田舎町の群衆によってリンチに遭うのですが、そこで描かれる細部は、田舎の庶民の持つ暴力性をつぶさに描いており、その鋭い批判意識に驚愕します。

フリッツ・ラングによる批判的な視線は、続く『暗黒街の弾痕』でも更に執拗に続けられます。

(余談ですが、それはフリッツ・ラングが逃げてきたナチスによる第三帝国を想定しています。この作品で描かれるリンチは、500万人近いホロコーストを推進したドイツ国民の熱狂そのものです。)


シルヴィア・シドニーは、リンチの犠牲者であるスペンサー・トレイシーの恋人役を演じます。

シルヴィア・シドニーは、スペンサー・トレイシーとの遠距離恋愛をいつか結婚に成就させようと健気に働き、夜まで働きづめの生活を送っています。

窓の外でブルーズを歌うアフリカ系アメリカ人に瞳を潤ませ、スペンサー・トレイシーからの手紙を誤字を訂正しながら愛おしく読むのです。

(なお、フリッツ・ラングによるとMGMはアフリカ系アメリカ人を靴磨きや駅のポーター役以外で出すことを禁じていたそうです)


年に1回程度のデートでは、満面の笑みを浮かべて、スペンサー・トレイシーを愛し、破れたコートを縫ってあげたり、家具屋のウィンドウ越しにマイホームの寝室を夢見たりしています。

ラストシーン近く、シルヴィア・シドニーは、リンチに対するスペンサー・トレイシーの復讐は正しくないと主張します。
異様なまでの復讐に燃えるスペンサー・トレイシーに対し、シルヴィア・シドニーは「あなたはもう別人のよう。あなたはリンチで死んでいた方が良かったかもしれない。」とまで言うのです。

 






















シルヴィア・シドニーについては、山田宏一は「まごころ女優」と呼んでいましたが、正に、一途な愛情にあふれた女優です。
その完璧なまでの造形については、次の『暗黒街の弾痕』の稿で触れたいと思います。


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