来る7月1日は、シルヴィア・シドニーの没後25周年です。
それを記念して、彼女の作品を紹介いたします。


シルヴィア・シドニー(Sylvia Sidney)
1910年8月8日生誕 - 1999年7月1日死没
・ニューヨーク市ブロンクス生まれ
・演劇学校へ進学し、ブロードウェイで舞台女優として活躍し始める。
・1929年に『疑惑晴れて』で本格的に映画デビューを果たす。
・その後はフリッツ・ラングやアルフレッド・ヒッチコックなどといった巨匠監督の映画に続々出演。

 

『真人間』(1938) Paramount
監督 フリッツ・ラング
共演 ジョージ・ラフト、ハリー・ケリー
音楽 クルト・ワイル
撮影 チャールズ・ラング
        
【あらすじ】
前科のある犯罪者を更生させるために雇っているニューヨークの百貨店で働くジョーは同僚のヘレンと恋に落ちた。
彼女もまた仮出所中の身だったことを知ったジョーは、かつての仲間に誘われるまま自分が勤める職場の商品を盗み出そうとするのだが。

 

シルヴィア・シドニーは、かの偉大な映画監督フリッツ・ラングの作品に3作出演しておりますが、いずれも素晴らしいです。
この作品の他に『激怒』『暗黒街の弾痕』とありますが、それらがあまりハッピーな終わり方をしていないので、この作品はハッピーエンドにしたと言われています。


この作品は、シルヴィア・シドニーとジョージ・ラフトの職場恋愛という、極めて俗っぽい設定のシーンから始まります。
しかし、その職場は、前科者たちを更生させるために、篤志家である社長のハリー・ケリーが経営している百貨店であり、そうしたことが影を落としており、決して華やかな百貨店ではありません。


そんな陰翳に一役買っているのがクルト・ワイルの音楽であり(フリッツ・ラングと同様にドイツ人)、少しブルージーな歌が女歌手によって歌われるシーンが挿入されています。

ジョージ・ラフトも、華のある役者ですが、ここでは前科者として、慎ましく百貨店で働いています。

接客中の女性客を伴いエスカレーターで下っている途中に、同じエスカレーターを上るシルヴィア・シドニーとすれ違うのですが、二人がそっと差し出す手と手で一瞬にぎり合うシーンは、本当に素晴らしく泣けてしまいます。








また、シルヴィア・シドニーの住む下宿に、深夜に帰宅した2人が、暗い階段をマッチをともして歩くシーン。
ハイキーを得意とするチャールズ・ラングの撮影術と思えず意外ですが、味わいのある撮影です。




そして、この映画の終盤が最大の見せ場です。

シルヴィア・シドニーは、ジョージ・ラフトが犯罪集団に舞い戻るのを必死で止めようと、ハリー・ケリーと組んで百貨店で、ジョージ・ラフトとその犯罪仲間たちを待ち受け、対峙します。
そこで、シルヴィア・シドニーは、百貨店の子供用品コーナーにある黒板を用いて、いかに犯罪が割に合わないか、いかにボスたちに搾取されているのかを説明します。
その正義の論理の妥当性はともかく、数字を延々と書き出す大胆な演出は大変面白いです。
(そうした数字の列挙は、ウィリアム・フォークナー『標識塔』を思い出させます)






そして、そこから、ハッピーエンドへ向かうさまは、いかにもアメリカ映画的な爽快さに満ちあふれていて、思わず笑みがこぼれてしまいます。











ジョージ・ラフトとその仲間たちの結束と、シルヴィア・シドニーの上品ながら愛らしい丸顔が、完璧とさえ言える映像表現を実現しています。
 

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