1月20日は、バーバラ・スタンウィックの没後34周年となります。

それを記念して、彼女の作品を紹介します。
(1907年7月16日生誕 - 1990年1月20日死没)

 

『熱い夜の疼き』(1952) ※旧題『クラッシュ・バイ・ナイト』
監督 フリッツ・ラング
共演 ポール・ダグラス、ロバート・ライアン、マリリン・モンロー
撮影 ニコラス・ムスラカ

【あらすじ】
10年ぶりに故郷に戻ってきたメイが新生活を始めるために漁師のジェリーと結婚して子供も授かるが、夫の友人で映写技師のアールに心を引かれて揺れ動く…

 

映画史で行われた、最も残酷な無視や無理解は、ハリウッド時代のフリッツ・ラングです。


誰もが、フリッツ・ラングと言えば『メトロポリス』の監督と言いますが、果たしてそんなに『メトロポリス』はすごい映画かは疑問が残ります。
ドイツ時代なら、『スピオーネ』の圧倒的でしょうが、こちらもなかなか評価されていません。

 

そして、後年のハリウッド時代ともなると、映画史から抹殺されていると言っていいでしょう。

映画史というのは、誰にでも分かりやすい逸話やイメージが必要なのでしょうが、残念なことです。


しかし、フリッツ・ラングのハリウッド時代の傑作は、本当に素晴らしいものばかりです。


『激怒』(1936)、『暗黒街の弾痕』(1937)、『死刑執行人はまた死す』(1943)、『飾り窓の女』(1944)、『恐怖省』(1944)、『緋色の街』(1945)、『復讐は俺に任せろ』(1953)、『条理ある疑いの彼方に』(1956)... どれもこれも傑作ばかりです。


これが、ハリウッド映画史で抹殺されているのは、映画史研究家たちの怠慢としか思えません。

ゴダールが『軽蔑』で、フリッツ・ラングに、正に映画監督フリッツ・ラングとして出演を依頼したのは、こうした背景があるのです。

この作品も、上映される機会が少ない作品でした。

(下積み時代のマリリン・モンローが好演しているのにもかかわらず)

たまにアテネフランセで字幕無しで上映されるほどで、そのときに観た驚きはいまも忘れることが出来ません。

 



さて、この作品のバーバラ・スタンウィックは、往年のコメディやメロドラマでのような、ロマンティックな存在ではありません。


Small Town Girlの成れの果てで、都会での仕事や恋愛に敗れて、何もない港町にたどり着いた女を演じています。
感じるのは疲労感しかなく、漁師のポール・ダグラスとの結婚生活に飽き、ロバート・ライアンとの不倫に走り、それでいて、悪びれもしない女です。

おそらく、この役を、バーバラ・スタンウィックではなく、いわゆる演技派が演じたら、観るのも辛い役どころだったでしょう。
しかし、それをハリウッド黄金期を支えた大女優であり、45歳にして丸顔が可愛らしいバーバラ・スタンウィックだからこそ、演じられたのだと予想します。

 

実際、バーバラ・スタンウィックは、男を愛することのない冷徹な役柄によって見る者を魅了し続けた。
フリッツ・ラング監督の『クラッシュ・バイ・ナイト』でも、彼女の性的な不満はあからさまに夫を無視し、男同士の友情に亀裂を走らせる。
バーバラ・スタンウィックは素性のいやしい女を演じさせたら、その右に出る者はいなかったのであり、われわれ映画ファンにとっては、グレタ・ガルボなんかより遥かに貴重な女優だったのである。
(蓮實重彦)



























なお、フリッツ・ラング自身が言っていますが、冒頭やエンディングの海浜や港の様子を、ドキュメンタリータッチで捉えた映像は、ハリウッド映画にしては珍しい試みです。
この映画が、海の鳥や魚そして船が行きかう港町の風物の中で、単なるメロドラマを超えて、リアリティある人間模様たりえているのは、そうした風景描写によります。

 

なお、ジェームズ・ウォン・ハウが撮影したことで知られる『カスバの恋』(1938)の冒頭部も同様のドキュメンタリータッチの素晴らしいロケーション撮影を観ることが出来ます。

 

 

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