来る2月13日は、キム・ノヴァクの91歳の誕生日となります。
それを記念してキムの作品を紹介します。
(1933年2月13日生まれ)

こちらは、キム・ノヴァクのベストNo.1作品であるだけでなく、ヒッチコックのベストでもあります。
 

『めまい』(1958)
監督 アルフレッド・ヒッチコック
共演 ジェイムズ・スチュワート
撮影 ロバート・バークス ※テクニカラー

【あらすじ】
同僚の転落死を目撃して以来、極度の高所恐怖症に悩まされるようになり、警察を辞職したスコティ。
旧友の頼みで彼の妻マデリンの監視を引きうけた彼だったが、自殺した曽祖母に操られるように奇妙な行動を重ねる彼女を、いつしか愛するようになる。
しかし、マデリンは教会の鐘楼から衝動的に身を投げて自殺。
失意で街をさまようスコティは、マデリンに生き写しの踊り子ジュディと出会い…。


サスペンスの魅力もさることながら、キム・ノヴァクが、ジェイムズ・スチュワートに愛されるために、髪を染め、服を変え、髪型を変える、その一途さ。
そして、それが最後は悲劇に終わることに胸を打たれます。



 






さて、そんな脚本の巧みさや、ヒッチコックの映画術はさておいて、キム・ノヴァクの妖艶さは圧倒的です。
誰もが知るように1人2役で登場するキムの前半と後半のコントラストがそれをまた強く印象付けるのかもしれません。

気づく方は少ないかもしれませんが、低い声も魅惑的です。










映画史上これほどまでに、蠱惑的なブロンドヘアはなかったように思います。

特に、シニョンに結われたその髪の、横から、後ろからのショットは秀逸です。
あまりにも蠱惑的であるために、ジェイムズ・スチュワートは彼女の死を受け入れることが出来なかったほどです。




トリュフォーの『暗くなるまでこの恋を』でのカトリーヌ・ドヌーヴの異様なまでのシニョンの艶は、ここでのキム・ノヴァクをなぞっているかのようにさえ思えます。
同じく、トリュフォーとドヌーヴの『終電車』の髪型の繊細さも、同様に思えます。


それにしても、赤い壁紙のレストランで、ジェイムズ・スチュワートが初めてキムを目にしたときの、デコルテのドレスに、グリーンのコート姿のキム。(首には、エメラルドのネックレスか)

 






その後、逢瀬を重ねた後での、黒のインナーとグローブと、白いコート姿のキム。







テクニカラーで撮られた鮮やかなプラチナブロンドとカラフルな衣裳との戯れを味わうことが出来ます。














さて、以下は長い付け足しになります。

 

蓮實重彦が『めまい』について、驚くべき論考を残しています。

赤い壁紙のレストランでの、キム・ノヴァクとジェイムズ・スチュワートとの視線の交わらない編集の妙(男女が逆方向に後ろを振り返るという非古典的な編集技法)を確認しながら論考を進めています。

ところで、ヒッチコックは、『めまい』のヒロインにはヴェラ・マイルズを起用していたが、妊娠により仕方無しにキム・ノヴァクで妥協し、出来上がりも一種の失敗作としている経緯を引きながら、それはただの映画の外の噂話として、軽視しながら、こんなコメントをしています。

 

いわゆるヒッチコック的な女優たちは、無意識のうちに異性との距離を計測しうるかのごとき容貌におさまっているが、キム・ノヴァクには、本能的に距離を放棄してしまいがちな動物的な何かがある。

 

更に詳しく見ると、このシーンでは、キム・ノヴァク演じる女は、本当は、ある男による妻殺しの共犯者であるが、その場は、ある男の妻役を演じます。すなわち、偽装する役なのです。

そして、おそらくヒッチコックはそんな偽装をキム・ノヴァクに期待していなかったがゆえに、前述のような華麗な編集技法により、キム・ノヴァクの妖しい美しさを印象付けた、といったん結論付けます。

 

だが、はたしてそうか。(...)ここには、ヒッチコックの周到な計算にはおさまりがつかない本能的な何かが、編集の隙間から匂いたってくるのである。(...)そして、見ているものが惹きつけられるのは、卓抜な編集のリズムであるとともに、またそれ以上に、周到な計算をかいくぐって滲み出してくる統御されざる希薄な流れというべきものなのである。

 

それを、否定神学的に称揚したくもないし、エイゼンシュテインのモンタージュ理論とも関係ないと蓮實重彦は言い、

 

瞳には触れがたいものの生成が、視覚的なものの至上の組織化によって初めて触知されることになるものだ

 

と、とりあえず結論づけます。そして、最後に以下のように結びます。

 

多くの清楚なヒッチコック的な女優の存在にもかかわらず、キム・ノヴァクが、たったひとりの例外性によって、真のヒッチコック的ヒロイン足りえている

 

蓮實重彦の映画批評は、淀川長治と並んで、本当に素晴らしいものなのですが、この論考はその中でも卓越しているように思います。

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