10月6日のキャロル・ロンバードの没後82周年を記念して、彼女の作品を紹介いたします。
(1908年10月6日生誕 – 1942年1月16日死没)


キャロル・ロンバード/Carole Lombard

  • 1908年10月6日 インディアナ州フォートウェイン生まれ。
  • 7歳の時に両親が離婚し母と共にロサンジェルスへ移住。
  • そこでアラン・ドワン監督と近所付き合いが始まり、1921年映画デビュー。
  • その後、高校と演劇学校に通い、1925年、FOXのカメラ・テストに合格。
  • 自動車事故で左頬に傷を作ってしまい5年契約を取り消され、その後1930年にパラマウントと契約して出演。
  • 1939年に絶頂期を迎えていたクラーク・ゲイブルと再婚。
  • 1942年、34歳の若さで国債公募キャンペーンの途中に飛行機事故で死去しました。
  • ゲイブルはそのあまりにも突然の別れに悲嘆にくれる日々を過ごしたと言います。
こちらの作品はAmazonプライムで無料で視聴可能です。

『ボレロ』(1934) Paramount

監督 ウェズリー・ラグルズ
撮影 レオ・トーヴァー
共演 ジョージ・ラフト

【あらすじ】
一流の踊り手になることを夢見ていた男と恋人であるダンサー仲間との栄光と悲劇的な結末。

 


こちらは『ルンバ』(1935)同様に、キャロルがジョージ・ラフトと踊る、パラマウント映画です。

キャロルの背中の美しさについては、以前論じました。

 


それにしても、キャロルの美しさは絶品です。

彼女の背中だけではなく、ブロンドの髪と黒い眉とのコントラストが、彼女の表情の強さを生んでいるように思います。
少し気だるげな眉と、赤く潤いのある唇に加えて、彼女の黒い眉。
同世代のディートリッヒやガルボの蛾眉と、対照的です。
























さて、ところで、この映画には、キャロルの美しさを強調する仕掛けがあります。

この映画では前半はキャロル・ロンバードは登場しません。
ジョージ・ラフトが、フランシス・ドレイクという女優と試行錯誤するのが前半となっています。

冒頭からジョージ・ラフトは、いかにも1920年代的なダンス(チャールストン?)を踊ってみせるのですが、これが客に全く受けないのです。

そこで、ジョージ・ラフトは、もっと修行を積まないとならないと考え、パリへ渡り、そこでフランシス・ドレイクというパートナーを見つけ、ようやく成功への一歩を歩み始めるのです。

フランシス・ドレイクは、ブルネットで決して悪い女優ではないのですが、その後、フランシス・ドレイクにとって替わる役として、ブロンドで豪奢のドレスをまとったキャロルが出てくるのですが、そこでキャロルは圧倒的な存在感を見せます。


その瞬間、誰もがフランシス・ドレイクは、キャロルの引き立て役だったことを知るのです。

その後、キャロルは、打合せだと思ったから衣裳は着ていないけど下着でいいわ(というセリフはないのですが)、いきなり、ドレスを脱いで下着姿になり、ジョージ・ラフトと踊ります。
 ※1935年のヘイズコードの施行の前なので、可能だったことでしょう。

そして、ラヴェルのかの有名な曲を踊るのです。
 ※『ボレロ』は1928年に書かれた曲なので、すぐにハリウッドはそれを映画に使ったのです。


しかしながら、この映画は、単に、クラシックの名曲を換骨奪胎した映画ではありません。

脚本も大変よくできていて、ジョージ・ラフトとキャロルがひとたび仲違いして、その後5年ぶりに再会して、そこでジョージ・ラフトのパートナー役に代わり、キャロルが代役を急遽務めるのです。

ここまではよくある「練習無しの急な本番」というテーマですが、ここで2人は結ばれません。
その理由は2つあるのですが、1つはネタバレなので語らないでおくとして、もう1つの理由は、キャロルがいまはジョージ・ラフトを愛しておらず、大事な夫がいるからと言って断るのです。

 

自堕落に欲望を肯定することなく、安易なハッピーエンディングを回避する倫理的な映画だと思います。


私たちは、エンターテインメントに、威勢の良さや痛快さを求めがちです。
その典型が、現代のハリウッド映画だったり、ある種のポップミュージックだったりします。
(現代日本のサブカルはほとんどそうしたものです)

そうしたものが、日常の憂さ晴らしや、欲求不満のはけ口として使われることは、悪くはありません。
しかし、それが過剰になると、単に刺激だけとなります。そして、すぐに飽きてしまいます。

欲求充足型のエンターテインメントを一通り味わったあとで、心に染み入るのは、こうした苦みを持ったハッピーエンドだと思う次第です。それが大人のエンターテインメントです。

思えば、キャロル・ロンバードが出演したルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』は、単なるコメディはありませんでした。笑いながらも、うすら寒い気分になるシニシズムの塊のような映画でした。

そうした大人のエンターテインメントを引き継ぎ、ご紹介したいと思います。

 

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