来る6月19日のジーン・アーサーの没後33周年を記念して、彼女の作品を紹介いたします。
(1900年10月17日生誕 - 1991年6月19日死没)
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ジーン・アーサーは、1900年にニューヨーク州プラッツバーグで生まれました。
- 1923年 20世紀FOXのスカウトマンに見いだされ、映画デビュー。
- 1928年 『野球王』で主演。
- 1931年 NYへ戻り、舞台経験を積む。
- 1934年 コロンビアと契約。
- 1950年 舞台『ピーターパン』が大成功を収める。
- 1953年 『シェーン』で映画に復帰
- 1991年に死去。
日本ではそれほど人気がありませんが、ガルボ、ディートリッヒに並ぶハリウッドクラシックの大スターです。
ガルボやキャサリン・ヘップバーン同様に大のマスコミ嫌いだったと言われます。
『歴史は夜作られる』(1937)
監督 フランク・ボーゼージ
共演 シャルル・ボワイエ
撮影 グレッグ・トーランド
【あらすじ】
アメリカの海運王ブルースの妻アイリーンは、嫉妬深い夫に耐えかねパリへ逃れ、ホテルの給仕長ポールと親しくなる。
これを知った夫は殺人事件を仕組んでポールを犯人に仕立て、妻に帰国を条件に他言無用を約束する。
アイリーンは黙ってパリを去り、それを知ったポールはNYに彼女を追うが、例の事件で無実の人物が犯人とされていると知り、彼女と共に処女航海の豪華客船でパリへ引き返す
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何という、華麗なメロドラマでしょうか。
この2年後に公開される『風と共に去りぬ』や『邂逅』と並ぶ、メロドラマの傑作です。
本来、映画とは、ロマンティックで、ゴージャスで、グラマラスで、御都合主義たっぷりのメロドラマであるべきで、そして、1930年代~40年代のハリウッドではそのような作品を多く見出すことができます。
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男優のシャルル・ボワイエも素晴らしいのですが、ジーン・アーサーも素晴らしいです。
ここまで完璧な美男美女の主演は多くはありません。
端正な顔立ちに、やや細い奥二重の瞳。
いつもはアメリカ映画界の「隣のお姉さん」的な親しみやすい役柄を演じていますが、この映画では、アイリーン・ダンのように、成熟した女性の役を演じています。
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この映画では、アメリカの海運王の妻ジーン・アーサーが、パリの高級レストランの給仕長のボワイエと、一晩で恋に落ちるのですが、許されぬ恋に二人は引き裂かれるますが、なんとボワイエがニューヨークでレストランを開き、ジーンを待ち、そしてそこで再会できるのです。
なんという御都合主義でしょうか。『邂逅』と並ぶ御都合主義でしょう。
パリの元高級レストランの給仕長とはいえ、とんとん拍子でニューヨークで開店でき人気店となり、あろうことか、そこにジーン・アーサーが来るのです。
しかし、映画とは、そうしたファンタジーでいいのです。
砂をかむような現実など、いちいち写し取る必要はありません。
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ジーン・アーサーとボワイエが、夜更けに、レストランでタンゴを踊るシーンは、実にロマンティックです。
カンザス生まれのジーン・アーサーは、どうしても靴が脱げたり、ひっかかったりするために、途中で、靴を脱ぎ捨て、裸足で踊ります。
現代の映画ならば、その脱ぎ捨て方をあられもなく、キャメラでクローズアップにでもするでしょうが、この作品は、そうした凡庸さからは程遠く、被写体との適切な距離を保っています。
思えば、男女が距離を縮める、上質なダンスシーンは、現代の映画から完全に失われてしまいました。
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監督は、『第七天国』『戦場よさらば』など、ロマンティックな作風で知られるフランク・ボーゼージ。
撮影監督は、書くのも手が震える『市民ケーン』『果てなき航路』のグレッグ・トーランド。
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