4月5日のベティ・デイヴィスの生誕116周年を記念して、彼女の作品を紹介しています。
(1908年4月5日生誕 - 1989年10月6日死没)

 

ベティ・デイヴィスのベストはこちらかもしれません。

なお、Amazonプライムビデオで無料で視聴できます。

 

 

 

『偽りの花園』(1941)

監督 ウィリアム・ワイラー

共演 テレサ・ライト

撮影 グレッグ・トーランド


【あらすじ】

20世紀初頭、米国南部の小さな町。

富裕な銀行主ホレイス・ギデンスは心臓を患いボルティモアで入院療養中だった。

妻レジナは夫を見舞いもせぬ冷たい性格の女、近くに住むレジナの兄ベンとオスカーは儲かることなら何でもしかねぬ連中で、南部の安い労働賃金を餌に東部商人と結び、この町に綿工場を建設しようと画策していた。

この計画に出資を勧誘されたレジナは、投資負担額7万5千ドルを夫から出させようと、娘アレグザンドラをボルティモアにやって夫を連れ帰らせた

 

ベティ・デイヴィスの凄まじさが分かる作品です。

そして、彼女の徹底したエレガントなまでの悪女ぶりを堪能できる映画です。

 

悪女と言うと、すぐに好事家たちは、C級映画やカルト映画を持ち出してきて、その露悪趣味を自慢しあったりします。

おそらく、そうした好事家たちは、ベティ・デイヴィスの映画はおろか、ジャンヌ・モローの映画も観たことがないのでしょう。

一度でも観ていれば、C級映画やカルト映画をありがたがって称揚することはないでしょう。

無知とは恐ろしいと思います。

 

この映画の、ベティ・デイヴィスの憎たらしさ。

階段の上から、下を見下ろしたり(何度も出てきます)、

椅子にふんぞり返って座り、男たちに侮蔑の視線を投げかけたり、足を蹴ったり。

食事を不味そうに食べ、召使に料理が冷えているから下げろと命じたり。

心臓を患っている夫に「早く死んで欲しかった」と言い放ったり。

 

朗らかな笑顔など一度もありません。

したがって、女優が主人公であるにもかかわらず、クローズアップがほとんどない映画なのです

 

 





 

さて、そんな憎たらしい女ぶりにも関わらず、エレガントな印象を与えるのは、彼女の髪型や帽子によるところが大きいでしょう。

 

 





 





バロック的とも言える、その髪型について、鶏冠のようだと言うのはやめたいと思います。

現実とは何も似ていない、ただただ意味のないウェーヴの豊かさを、味わうことだけが映画鑑賞において求められていると思います。

なお、撮影監督はディープフォーカスの名手グレッグ・トーランド。

ワイラー×グレッグ・トーランドという完璧なコンビネーションによる、縦の構図の魅力について、語る紙幅がなくなってしまいました。

 

ここで南部の旧家の女主人を演じているベティ・デイヴィスは、パーマネントで豊かな髪の毛をゆるやかなウエーヴで思い切り上に持ち上げ、そのボリュームに見あったひたいの広さと、瞳の大きさと、そり返った唇とで病身の夫の死を待ち望む冷酷な女を堂々と演じてみせたのである。

そうすることで、新人時代に自分を拒絶したプロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンをも見かえしているかのようだ。

彼女は『偽りの花園』を演じた1941年には33歳だったはずである。

だがそれにしても、この悪妻ものの堂々たる母親役の貫禄はどうだろう。

凝ったヘアスタイルとメークアップだけで女優を化けさせてしまうほど、ハリウッドは完壁な人工的ファクトリーなのだろうか、それとも、ワイラーの演出によるものなのだろうか。

(蓮實重彦)


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