来る10月9日は、ミリアム・ホプキンスの没後52周年です。
(1902年10月18日生誕 - 1972年10月9日死没)
ミリアム・ホプキンスの出演作品をご紹介いたします。
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ミリアム・ホプキンス/Miriam Hopkins
- 1902年 アメリカ/ジョージア州生まれ
- シラキュース大学卒業後、20歳のときにニューヨークでコーラスガールになる。
- その後女優としてブロードウェイで活躍。
- 1930年 パラマウント映画でデビュー。
- 1931年の映画『ジキル博士とハイド氏』が大ヒットし、出番は多くなかったものの注目を集める。
- 1943年以降 しばらくスクリーンを離れ、舞台に活動の中心を移す。
- 1949年『女相続人』で映画界に復帰。
『極楽特急』(1932)
監督 エルンスト・ルビッチ
共演 ケイ・フランシス、ハーバート・マーシャル
撮影 ヴィクター・ミルナー
【あらすじ】
紳士淑女の泥棒カップルが力を合わせ、香水会社の美人社長を取り込み詐欺にかけようとする。
だが、紳士泥棒と美人社長が恋に落ち、三角関係になることにより、詐欺計画が予定通りには行かない。
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映画史上最高のコメディエンヌは、ミリアム・ホプキンスか、キャロル・ロンバードか、キャサリン・ヘップバーンで悩むほどに、ミリアム・ホプキンスはコメディエンヌとして最高です。
キャサリン・ヘップバーンのようにオスカーの栄光に恵まれることはなかったのですが、晩年になるまで、映画と舞台に出演し続けていました。
なかでも、「映画のプリンス」エルンスト・ルビッチの作品は、三度も出演しており、ルビッチが好んだ女優の1人です。
(この作品の他に、『陽気な中尉さん』『生活の設計』にも出演)
他にも、『木によじ登る女』という荒唐無稽なコメディにも出演しているほど、彼女はコメディエンヌとしては一定の存在感を示しています。
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この『極楽特急』については、なんという優雅で良くできた作品かと、溜息をついてしまいます。
まず、ヴェネツィアで、男泥棒と女泥棒ミリアム・ホプキンスとが出会うという仕掛けからして、リアリズムとは一切無関係な出鱈目な楽しさがあります。
ミリアム・ホプキンスの、可愛い泥棒姿を味わうことが出来ます。
そして、男泥棒が、こともあろうに、あのハーバート・マーシャルで、そして、彼とミリアム・ホプキンスとがターゲットとする女社長がケイ・フランシスなのです。
これほどまでに、成熟したコンビネーションはあるでしょうか。
ハーバート・マーシャルも、ケイ・フランシスも、黒のスーツやドレスを、実にシックに纏っております。
しかしながら、この映画は退屈な社交界などとは無縁の演出がなされており、省略に次ぐ省略で、たったの82分で物語を語り終えてしまうのです。
そこには、何の大袈裟なギミックはありません。
扉や階段だけがやたらと使われ、物語を円滑に運ぶ装置として機能しているだけです。
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ミリアム・ホプキンスは、ケイ・フランシスとは違い、始終クールで感情を出さないハーバート・マーシャルに高い声で文句を言い、ときにヒステリックに怒ります。
それ自体は、あくまでコミカルに演じられており、私たちは、かん高い声にうんざりすることなく観ることが出来ます。
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コメディエンヌとは、場合によって露悪的な演技を必要とされるので、大変に難しい役です。
露悪的な行為は、すぐに下品さや低俗さと結びつくからです。
しかし、ミリアム・ホプキンスとルビッチ(あるいは、キャサリン・ヘップバーンとハワード・ホークス)にあっては、そうした心配は不要です。
彼女たちの、自らの魅力を一切隠すことの無い、堂々した振る舞いが、画面に明るい肯定的な魅力がみなぎるのです。
コメディの本質とは、こうした肯定的な力だと考えます。
気が利いたウィットやギャグなどは本質ではないのです。
小津安二郎や、ジョン・フォードや、ジャン・ルノワールの映画が、時にコメディのように思える瞬間があるのは、そうしたことによります。
彼(ルビッチ)の映画には、艶然と微笑みながら自分の性を誇らしげに顕示する美女が何人も登場するが、その性的な奔放さをゆるやかに受け止めうる度量と資産とに恵まれた魅力的な男性がいないと、その世界は成立しない。
無声時代には、アドルフ・マンジューがその種の夫にはうってつけの優雅な役者だった。
『極楽特急』の優雅な詐欺師をも演じているハーバート・マーシャルは、その容貌、その身振り、その言葉遣いの繊細さという点で、トーキーになってからのルビッチには不可欠なキャラクターだ。
なによりその艶をおびた声の抑揚が素晴らしく、いったん彼が口を開けば、あらゆるものが進んで武装解除を受け入れ、味方になってしまうだろう。
ルビッチが精神的なオルガスムの悦楽さえ周到に回避するのは、性的な大胆さを欠いていたからではない。
結果ほど映画にあって退屈なものもまたとないからである。
ヒッチコックがそうであるように、彼はもっぱら過程に執着する。
『極楽特急』の優雅な詐欺師ハーバート・マーシャルを挟んで、窃盗癖を持つ美女ミリアム・ホプキンスと優雅な富豪婦人ケイ・フランシスとが接吻合戦をくりひろげるとき、われわれはどちらが勝つかにはまったく拘泥せず、そのつど触れ合う唇がうけとめるだろう甘い戦慄に、思わず背筋を震わせるのみである。
(蓮實重彦)
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