2月5日は、シャーロット・ランプリングの78歳の誕生日でした。
それを記念してシャーロットの作品を紹介しています。

 

今日ご紹介するのは、中年期のシャーロットの傑作です。

 

『マックス、モン・アムール』(1986)
監督 大島渚 
共演 アンソニー・ヒギンズ
撮影 ラウール・クタール
美術 ピエール・ギュフロワ


【あらすじ】
パリ在住のイギリス大使館員ピーターは妻のマーガレットと息子とで幸福な生活を送っていたが、ある日、妻が行先不明で毎日家を空けるのを知り、探偵に調査させる。
驚いたことに、妻は部屋を借り、調べても姿を現さぬ誰かとそこで過ごしているらしい。
部屋に踏み込んだ彼は、さらに驚愕する。
妻とベッドにいたのは、マックスという名のチンパンジーだったのだ…

 

素晴らしい作品です。
メディアでのスキャンダラスなイメージ操作があったので、いままでは勘違いしていました。
asあまりにも美しいドラマでした。

 














まず、映画の語り口が極めて上質です。
明るいアパルトマン内の固定キャメラの撮影が基本で、シャーロットの白い肌と赤い紅が強調されています。
ヌーヴェル・ヴァーグの時代の名匠ラウール・クタールによるところが大きいですが、美術監督ピエール・ギュフロワも見事です。

 








 

ロケ地は、19世紀の終わりごろに建った美しいアパルトマンだった。

美術監督に、特に金色をたくさん使ってくれと。

マックスが黒いから、黒は一切使わないでくれと指示をした。

(大島渚)



そして、クライマックスの御都合主義の楽しさ。
行方不明のマックスがいつの間にか、シャーロットたちの車の上に乗っていたというのは、御都合主義以外の何ものでもないのですが、映画なんてものはそれでいいのです。

実に爽快な視聴感が残ります。
 

※女中のアレルギーの原因が、チンパンジーではなく主人の不機嫌に変わるのも、出鱈目で面白いです。


シャーロットはずっと能面のような無表情ですが、ときに破顔一笑で、素晴らしい笑みを見せます。

 

シャーロットの笑みは、映画女優の中でも最高の部類に入るでしょう。

この作品でのエレガントな微笑みは、不幸も幸福も受け止める態度から来ていると言ったら、感傷的過ぎるでしょうか。

 

 



 

 

大島 「彼女は日常的にはものすごく美しい笑顔で笑う人なんですよね。ところが映画の中だとあんまり笑わない。ぼくが彼女に出した注文は2つだけで、笑顔を躊躇しないでくれ、あなたは大変スティンジーだ(出し惜しみする)と。それが1つ。それから、彼女はもう40歳ですから、背中が少し丸くなる時があるのね。だから背筋をいつもちゃんと正して、それだけです。」


蓮實 「初めて彼女が猿と登場するところがありますね。あそこは一番エイリアン的な顔をしてる。つまり夫が解読できない顔をしているわけですね。実にいい出方だなあ----いいというより、いまのお話で分かりましたが、背筋が伸びてて堂々としてるわけですね、隠し立てするわけでもないし。」



淀川長治は杉浦孝徳との対談で以下のように絶賛しています:

 

淀川「この映画の面白さは、この題名見たときに、誰もがサルとセックスできるのかと考える。だけど、奥さんはそんな人じゃないの。駐仏の英国大使の奥さんでしょ。そんなバカなことはしない。
 

杉浦「じゃあ、回春剤なんですね、マックスなんですね」
 

淀川「もちろん。あんた、いまごろ気がついたの? 最後、サルを真ん中にしてまじめな顔でごはん食べてるけど、これから一体、どんな秘めごとの地獄が始まるか。その地獄が愛なのね。だから、僕は大島渚に、大人の映画作ったねと言ったの。最初のタイトルに鍵穴が出てくるでしょ。いいねえ。この映画、全部の人が鍵穴覗きたいの。覗かずにはいられない。鍵穴は、ご主人の目ね。と同時に、覗かせたい奥さんのシンボルでもある。奥さんは見せたいの。だけど、サルと絡んだりしてるとこは、絶対見せたくない。きれいにただ横になってるのを見せるでしょ。」

「日本映画としては、最高にハイカラ。フランス映画としても上等だね。」


※この対談では、この箇所以外でも、淀川がおすぎを馬鹿にしていて、笑ってしまいます。

人妻は、隠れた愛の巣をつきとめられても、とり乱したりはしない。

猿をいたわるように夫の瞳に半裸の身をさらす彼女は、あくまで堂々としている。

 

この瞬間が、『マックス・モン・アムール』の鍵なのだ。

鍵だといっても、秘密を解明するための鍵だというのではない。

秘密の不在によって映画を成立させるための鍵となる美しい瞬間なのである。
 

大島渚は、巨大な猿とベッドをともにしていながら、なおシーツでその胸を蔽ったまま夫に視線を向けるシャーロット・ランプリングの瞳にキャメラを向けながら、それが不倫でも倒錯でもなく、愛が才能の問題であることを大胆な繊細さで示しているかのようだ。(...)

 

『マックス、モン・アムール』の作者もまた、ここで愛という名の才能の勝利を慎ましい大胆さで語り切っている。

戯れの技術ではなく才能の開示としての愛を前にして、夫にできることは、ただその才能に嫉妬することでしかない。
(蓮實重彦)


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