来る3月11日はドミニク・サンダの73歳の誕生日です。
(1951年03月11日生まれ)
それを記念して、ドミニクの作品を紹介いたします。
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こちらは、ドミニクのデビュー作です。
『やさしい女』(1969)
監督 ロベール・ブレッソン
撮影 ギスラン・クロケ
共演 ギイ・フライジャン
【あらすじ】
「彼女は16歳ぐらいに見えた」。
質屋を営む中年男は妻との初めての出会いをそう回想する。
安物のカメラやキリスト像を質に出す、若く美しいがひどく貧しい女と出会った男は、「あなたの望みは愛ではなく結婚だわ」と指摘する彼女を説き伏せ結婚する。
質素ながらも順調そうに見えた結婚生活だったが、妻のまなざしの変化に気づいたとき、夫の胸に嫉妬と不安がよぎる……。
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17歳のドミニク・サンダの存在感はただ事ではありません。
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その視線の鋭さ、笑顔をほとんど見せない無表情、かすかに開いた唇。
先行するドヌーヴ(1943年生まれ)、ファニー・アルダン(1948年生まれ)のような、
戦後の風土を反映したゴージャスな美女たちとは全く異なる、剥き出しの女とでも言うような印象を受けます。
この映画が受け取るドミニクのイメージは、実にザラザラしたものです。
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撮影監督のギスラン・クロケは、前年にドヌーヴの『めざめ』を撮っています。
そこでのドヌーヴは、全フィルモグラフィの中で最も美しく撮られています。
また、ギスラン・クロケは1970年に『ロシュフォールの恋人たち』も撮っています。
いずれも、ファンタジックな撮影技法です。
そのギスラン・クロケが、ブレッソンの世界を撮ると、一転してザラザラした手触りのフィルムへと変わります。
(そして、1979年の『テス』では、登場したばかりのナスターシャ・キンスキーをフィルムに収め、アカデミー撮影賞、英国アカデミー賞撮影賞、セザール賞撮影賞などを受賞しました。)
女優を撮るのに長けた撮影監督と言えましょう。)
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ドミニクのデビューは、このように輝かしいものでした。
デビューと同時に最高傑作にめぐりえたような女優はそうはいないでしょう。
(『ローマの休日』のオードリーくらい?)
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この映画は、版権の関係でDVD化はされないそうです・・・
女優はこのように撮れと、ブレッソンはいっているかのようだ。
そう思って視線を向けた画面で、ドミニク・サンダは、一瞬ごとに、女優を遥かに超えた女へと、艶めかしく変貌してゆく。
(蓮實重彥)
ブレッソン的な残酷さが、いままさに官能的なスターとして生まれようとしているドミニク・サンダの誕生を一瞬ごとに流産させながら、まさにその流産によって、彼女の魂と肉体とをいやが上にもみだらなものにしているさまがより高次のサスペンスをかもし出しているのだ。
(蓮實重彥)
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