カトリーヌ・ドヌーヴは、37歳の『終電車』の大成功のあと、引退を考えたのですが、
38歳のときのアンドレ・テシネ監督との出会いにより、キャリアを継続させていきます。

大作映画や娯楽映画やコメディ映画にも出て、『インドシナ』で再度成功を収めます。
また、その一方でお気に入りの監督の作品や、新進の監督の低予算映画にも出演し続けました。

 

『犯罪の系譜』(1997)
監督 ラウル・ルイス
共演 ミシェル・ピッコリ、メルヴィル・プポー、ベルナデット・ラフォン、マチュー・アマルリック
撮影 ステファン・イヴァノフ
衣裳 イヴ=サン・ローラン

 

【あらすじ】

精神分析家ジャンヌは、甥のルネに殺人衝動があり、5歳をすぎたルネの犯罪者的傾向を矯正することは出来ないと知っていた。

そして、ルネを見守り続けてきたジャンヌの不安は的中する。

甥のルネの犠牲者は、彼の犯罪者的傾向に唯一気付いていたジャンヌ自身だった…。

 

この作品は、『昼顔』(1967)のちょうど30年後に、54歳のドヌーヴが、『昼顔』的な世界を体現しようとした映画と言えましょう。

そう思うのは、理由が3つあります。

 

まず、衣裳が久しぶりに、サン=ローランだからです。

ご存知のとおり、『昼顔』でのドヌーヴは、サン=ローランを華麗にまとっていました。


次に、共演がミシェル・ピッコリで、『昼顔』以来の共演をしているからです。

ピッコリの、やや露悪的な役柄は、作品世界に深みを与えるものです。
(なお、ピッコリは、4年後、オリヴェイラの『家路』で再度ドヌーヴと共演することになります)

また、この作品のメルヴィル・プポーは、『昼顔』の若い仕込み杖の男ピエール・クレマンティを想起させます。

 

そして、ブニュエルに似た監督であるラウル・ルイスの作品だからです。
この作品は、前衛的なサイコホラー劇なので、『昼顔』とはモチーフは若干異なりますが、現実と妄想との境界が侵犯されるテーマは似ています。

 

さて、監督のラウル・ルイスについて、ご存じの方は少ないでしょう。

ラウル・ルイスは、チリ出身の亡命フランス人です。
1960年代は、チリで前衛的な映画づくりをしていたのですが、1973年のクーデタでフランスへ亡命します。
その後パリの国立視聴覚研究所(INA)や、グルノーブルやル・アーヴルの文化センターなどで仕事を続けます。
100本以上の作品を持ち、フランスでは高い評価を得ている作家です。

分かりやすく、ざっくばらんに言えば、ブニュエル的な存在です。


そう考えると、ドヌーヴがラウル・ルイスからのオファーを承諾したのも、なんとなく理解できるような気がします。

なお、ラウル・ルイスは、ドヌーヴと、その後もテレビ映画
『見出された時-「失われた時を求めて」より-』(1999)でも作品を撮りあげることになります。


ここでドヌーヴは、1人2役にチャレンジしています。

1つの役は、ブロンドヘアの精神科医。
もう1つの役は、赤毛のマダム。(その衣裳がサン=ローランです)

精神科医の役は、後年の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を思わせます。
























注目すべきは、赤毛のマダムが、あるカルト的な精神科医の団体で、セラピーの一環で活人画にようなことをやるシーンです。

ドヌーヴはそこで、赤毛の髪を更にショートカットにして、黒いグローブに、イブニングドレスのような姿で、ソファーにゆったりと横たわっているのです。

その妖艶さは、この映画の白眉です。
そして、30年前の『昼顔』の妖艶さを思い出させます。







なお、この作品が撮影された1996年は、マストロヤンニが逝去した年でもありました。

ドヌーヴにとっては、精神的に厳しい時期だったそうですが、作品は実に興味深いものとなっております。

この作品は、日本ではDVDが出ていませんが、ときおりアンスティテュ・フランセで上映されます。
 

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