本日3月9日はジュリエット・ビノシュの60歳の誕生日です。
(1964年3月9日生まれ)
それを記念して彼女の作品をご紹介しています。


ビノシュのベストNo.2の作品はこちらです。

 

『汚れた血』(1986)
製作・監督 レオス・カラックス 
共演 ドニ・ラヴァン、ジュリー・デルピー、ミシェル・ピコリ
撮影 ジャン=イヴ・エスコフィエ

【あらすじ】
愛なきセックスによって伝染する“STBO”という奇病が蔓延するパリで、ジャンという男がメトロで死ぬ。
友人マルクは彼が金貸しのアメリカ女に殺されたのではと疑いを持つが、彼女から汚れた金を借りていたのはマルクも同じだった。
その返済のため、ある製薬会社が開発した“STBO”の特効薬を盗み出そうと誘われたジャンの息子アレックスは、マルクがつれ添うアンナに密かに心魅かれしぶしぶ承諾。
計画は実行されるが、そこにアメリカ女の目は光っていた……。



1986年、映画が完全に死に絶えたと思われていた頃、颯爽と登場としたのがレオス・カラックスと、その分身男優ドニ・ラヴァンでした。

カラックスとラヴァンの「アレックス3部作」では、まるで、トリュフォーと男優ジャン=ピエール・レオとの関係を思いださずにはいられませんでした。

一方で、本作と『ポンヌフの恋人』でのジュリエット・ビノシュは、私生活における関係を含め、カラックスにとっては、運命のミューズであり、それはまるで、ゴダールとアンナ・カリーナの関係と酷似していました。

その意味で、トリュフォーとゴダールを後継しているのがカラックスだったのです。

 

実はこの映画で、レオス・カラックスが犯罪すれすれのことをやってのけているという点を見逃してはならないわけで、それは、ゴダールとトリュフォーとを同時に愛してしまうということ、つまり、とりわけフランスでは起ってはならないことを堂々とおし通しているカラックスの不敵さにこそ注目せねばならない。
(蓮實重彦)



いかにカラックスがビノシュを愛していたか。

それが画面から生々しく伝わってくるようです。

ビノシュのいる画面は、夏の夜の湿気のように匂いたち、また、冬の日の乾燥した空気のように皮膚を凍らせます。






カラーで撮影されたフィルム・ノワールであるこの作品は、暗闇に浮かび上がる白い肌と虚ろな瞳のビノシュへの凄まじいクロースアップと、その原色の衣裳が強く印象に残ります。



















湿った夏の夜更けの密室を舞台に、囁きと煙草の煙がある一方で、突如、ラヴァンが走り出したり、路上の車をひっくり返したり。
やぶれかぶれの運動がここにあります。
こうしたことも、また1960年代ゴダールを思い出さずにはいられません。


あの有名なラストシーンで、ジュリエットはラヴァンの疾走を反復するかのように走り出します。

その疾走を捉える画面はナイーヴとの誹りを受けようとも、いまも鈍く胸を打ちます。







※なお、この映画でもう一人重要な女優ジュリー・デルピーがいることを備忘録として書き添えておきます。

 

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