3月16日は、イザベル・ユペールの71歳の誕生日でした。
（1953年3月16日生まれ）
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。
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今日ご紹介するのは、ユペールの中期の佳作です。
『甘い罠』(2000)
監督 クロード・シャブロル
共演 ジャック・デュトロン、アナ・ムグラリス
撮影 レナート・ベルタ
【あらすじ】
ローザンヌの市庁舎で天才ピアニストのアンドレ・ポロンスキーとミカことマリ＝クレール・ミュレールは2度目の結婚式を挙げる。
アンドレと亡くなった前妻リズベットのあいだには18歳になる無職の息子ギヨームがいる。
別の日、レマン湖畔のレストランでルイーズ・ポレとポリーヌが話している。
ポリーヌの息子アクセルは、ルイーズの娘ジャンヌと交際している。
ジャンヌは自分が生まれた病院で、結婚式を挙げた有名なピアニスト、ポロンスキーの子供と自分が取り違えられそうになった話を初めて聞き、彼の家を訪ねることにする……。
またもや、シャブロル監督によるユペールの作品です。
この作品は、スイスを舞台にしていることもあるのか、スイスの名撮影監督レナート・ベルタが起用されています。
じっさい、ユペールが最も美しく撮影されている作品の1つに仕上がっていると言えましょう。
ユペールがこんなにも涼しげに撮られているのは初めてです。
今日は写真だけです。
ベルタの素晴らしさは、移動撮影もズームも固定画面も、同じひとつの美学によって統一されていることだ。(...)
つまり、ベルタのキャメラは自由なのだ。
もちろんその自由は、完壁な条件が整ったときの教に可能となる技術的な自在さではなく、直面する物質的な困難を凝視することで得られる闊達さといったものだ。
それこそ、イタリア派の伝統につらなる肯定的な繊細さであるに違いない。
(蓮實重彦）
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