オリヴィア・デ・ハヴィランドの生誕107周年と没後3周年を記念して、オリヴィアの作品を紹介します。
(1916年7月1日生誕 - 2020年7月26日死没)
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こちらは、冷徹な40路の女性を描く傑作です。
『ふるえて眠れ』(1964)
監督 ロバート・オルドリッチ
撮影 ジョセフ・バイロック
共演 ベティ・デイヴィス、ジョセフ・コットン
【あらすじ】
年老いたシャーロット・ホリスは、37年前のある事件以来、広大な邸にたったひとりで暮らしていた。
交際を嫌い、道路工事による邸の取り壊しにも頑なに反対する彼女を見て、人々は「ホリス邸には死体が埋まっているのだ」と噂した…
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私たちは、恋愛、ファンタジー、アクション、ホラーと刺激を最優先した映像に、脊髄反射的に反応しています。
それは同時に、若いことや健康が至上の価値とされた世界に生きています。
その「生き生きとした」から、老いた存在はいつの間に排除されています。
じっさい、現代映画では、いつからか、中高年や老人が好演することが少なくなりました。
とりわけ、女優はそうです。若い女優ばかりで、中年以上の女優を見ることは多くありません。
しかし、かつては、ハリウッドでは若くない女優や老女が活躍していたものです。
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この映画での主演のベティ・デイヴィスは56歳、オリヴィアは48歳。
ベティは、引きこもって精神を病んでいる様子なので、かなり年老いて見えます。
しかしながら、この56歳と48歳の女性の愛憎劇は、なかなかにスリリングで、おそらく、老女が主人公の作品の傑作のひとつでしょう。
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この映画で、オリヴィアは不敵な笑みを浮かべることはあっても、ほとんど仏頂面で、ベティに対立する悪役を演じています。
争う人間たちを描かせたらハリウッド最高の、オルドリッチの素晴らしい演出術により、恐怖さえ感じさせる冷たさを醸し出しており、
『風と共に去りぬ』のメラニーや『いちごブロンド』のエイミーとは、同一人物とは思えません。
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特筆すべきは、オリヴィアの全身を捉えたフルショットです。
一見して、何のギミックもない撮影なのですが、ヒールを履いた足の存在感、オリヴィアの立ち位置、なぜか腰回りだけが光の当たらない照明、背後のエントランス空間の暗さと、左後方に映し出される影。
素晴らしいとしか言いようがありません。
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オルドリッチの素晴らしさについては、また別の機会に論じたいと思います。
なお、ドヌーヴ主演の『ハッスル』も素晴らしい出来でした。
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