来る5月4日は、オードリー・ヘップバーンの生誕95周年となります。
(1929年5月4日 - 1993年1月20日)
それを記念してオードリーの作品を紹介しています。(過去の投稿の再掲となります)
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なお、Amazonプライムビデオで無料で視聴可能です。
『シャレード』(1963)
監督 スタンリー・ドーネン
共演 ケーリー・グラント
撮影 チャールズ・ラング ※テクニカラー
音楽 ヘンリー・マンシーニ
衣裳 ジヴァンシー
【あらすじ】
スキー場からパリの自宅へ戻ってきたレジーナを待っていたのは、離婚予定だった夫の死。
葬儀の会場には見知らぬ3人の男が現れ、大使館では情報局長から、戦時中に夫が軍資金25万ドルを横領していた事を聞かされる。
五里霧中のレジーナはスキー場で知り合ったピーターに助けを求めるが、彼もまた3人組の仲間だった……。
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前期オードリーは「都会の瑞々しい妖精」(あるいはお姫様)であったに対し、後期オードリーは「フェア・レディ」(美しい淑女)と特徴づけられましょう。
この『シャレード』も、後期に属します。
後期オードリーは、『マイ・フェア・レディ』『シャレード』『おしゃれ泥棒』『暗くなるまで待って』あるいは『ロビンとマリアン』まで続く、完成された気品というべきものを特徴としていました。
なお、『ティファニーで朝食を』は、前期と後期のちょうど中間にあたります。
すなわち、そこでオードリーが演じてるのは、ニューヨークという舞台にしたスマートでキュートな妖精でありながらも、エレガンスを感じさせる謎の職業の女だったのです。
※前期と後期の中間では『許されざる者』『尼僧物語』などの試行錯誤があります。
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さて、この『シャレード』。
フランス語で「謎解き」を意味するこの作品は、愛(アムール)と犯罪とモードとユーモアがたっぷりと凝縮された作品です。
その上質な軽さで、オードリーのNo.1としたいと思います。
オードリーは、いにしえの大女優たちと違って、貫禄や威厳さと言ったものとは無縁の、軽やかなレディを演じてきたわけですので、軽やかな作品こそベストNo.1に似つかわしいでしょう。
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スイスと思しき冬のリゾート地で、淑女を気取っていたかと思えば、子供に水鉄砲をかけられ、「シルヴィ!この子を何とかして頂戴!」と文句をつけるところから始まります。
等身大の女性こそが、オードリーの魅力です。
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パリの自宅がもぬけの殻になっているシーンは、絶望が漂うシーンなのですが、暗闇に白く浮かび上がるオードリーは美しく、それに呼応するように、ケーリー・グラントも登場するのです。
こうした画面の呼応が、彼らの心の共鳴や共振を表現しているかのようです。
白いジヴァンシールックの素晴らしさ。
その美しさこそが、オードリーが、ケーリー・グラントに積極的にキスを仕掛けるための最高の服なのです。
その意味で、オードリーの映画で、最も重要なのは、白さ(白い肌、白い服、白い腕)であるように思います。
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この映画の最も美しいシーンは、セーヌ河でのナイトクルーズでしょう。
実際のセーヌ川のロケ撮影ではありませんが、薄闇のなか、デッキに立つオードリーとケーリーに、河からの照り返しが、光っては消える撮影は、素晴らしく、逆にロケでは不可能かと思う次第です。
そして、オードリーの左耳のピアスがキラリと白く光るのです。
ハリウッドが崩壊しつつある時期において、スタジオが生んだ最後の芸術と言えましょう。
そうした素晴らしさを支えているのは、共演のケーリー・グラントであり、衣裳のジヴァンシー、音楽のマンシーニ、監督のスタンリー・ドーネンですが、最も重要なのは、撮影監督のチャールズ・ラングです。
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チャールズ・ラングは、ハリウッド撮影監督のベスト5に入るという論者もいます。
戦前から活躍しているチャールズ・ラングですが、戦後パラマウント以外の映画会社で、フリッツ・ラングの作品をはじめ、数々の名作を手掛けています。
1954年の『有名になる方法を教えます』(ジュディ・ホリディ)、『麗しのサブリナ』(オードリー)、『お熱いのがお好き』(マリリン)などで、戦後の遅れてきたスターたちを見事にフィルムに収めてきました。
オードリーとは、『麗しのサブリナ』(1954)のあと、9年の間をおいて『シャレード』(1963)、『パリで一緒に』(1964)、『おしゃれ泥棒』(1966)、『暗くなるまで待って』(1967)とオードリーの後期作品を立て続けに撮影しているのです。
その意味で前期がフランツ・プラナーによって特徴づけられるとすれば、後期はチャールズ・ラングです。
※ただし、『マイ・フェア・レディ』の撮影はハリー・ストラドリングです。
チャールズ・ラングが撮影してきたのは、そうした白さによって誘惑する「フェア・レディ」としてのオードリーなのです。
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