来る5月4日は、オードリー・ヘップバーンの生誕95周年となります。
(1929年5月4日 - 1993年1月20日)
それを記念してオードリーの作品を紹介しています。(過去の投稿の再掲となります)
『マイ・フェア・レディ』(1964)
監督 ジョージ・キューカー
共演 レックス・ハリソン、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト
撮影 ハリー・ストラドリング
衣裳 セシル・ビートン
【あらすじ】
ロンドンの下町。花を売り歩いていた女性イライザは、通りすがりの言語学教授ヒギンズに言葉の訛りを指摘され、彼の提案で訛りの矯正と淑女になるための礼儀作法を教わることに。
そして、ヒギンズの家に住み込みながら厳しい指導を受けるイライザ。彼女はやがて、上流階級の貴婦人として競馬場へ赴き、社交界に華々しくデビューする。
ところが、淑女らしさにますます磨きをかけていたある日、ヒギンズの研究対象にされていたことを知り、ショックを受けたイライザは彼のもとを去ってしまう…。
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あまりにも有名なアカデミー賞受賞作品です。
この作品は、女性映画の天才ジョージ・キューカー監督によるアカデミー作品賞作品であり、セシル・ビートンの衣裳と共に、彼女のキャリアの絶頂期をなす傑作としてよく知られています。
(オードリーにとっては、『パリの恋人』以来のミュージカル)
彼女による歌声は最終的にほとんど没になったとはいえ、稀有な瑞々しさがフィルムに華麗に刻まれています。
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今日は、オードリーのバレエ仕込みの美しい腕に注目したいと思います。
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オードリーのキャリアがバレエから始まったことは周知のとおりです。
(ロンドンのマリー・ランバート・バレエ団)
じっさいハリウッドに渡る前の英国での下積み時代の作品『初恋』(1951)では、彼女のバレエ姿を観ることが出来ます。
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ここで注目したいのは、ワイドスクリーンの横長の画面いっぱいに、広がっていく、しなやかで、美しい腕の動きです。
劇中歌『踊り明かそう』では、初めて正しく英語を発音できた喜びで身体をほてらせて、「翼を広げて」と歌いながら、その長い腕を広げます。
女中長に手を引かれて、階段を2階、3階へと上がっていき、
侍女たちにパジャマに着替えを手伝ってもらい、それまでの堅苦しい服から解き離れて、はしゃぎまわり、ベッドへゆったりと横たわったかと思うと、毛布をはねのけ枕を抱きしめる。
この映画の白眉と言えるこのシーンでは、10年前の『ローマの休日』のような瑞々しさを感じさせずにはいられません。
単にバレリーナ風の腕のしなやかな動きがあるだけではなく、1階から3階へ、浴室から寝室へと、するすると移動しながら、女中長や侍女たちとの間で、軽やかなマイムがある、このシークエンスの撮影自体が、リズミカルなのです。
そして、オードリーの最も似合う白いブラウスやネグリジェが、クラシックな屋敷のセットにおいて鮮やかに映えるのです。
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ところで、上記のシーンでは、どうやって撮影したのかと思うほど、狭そうな空間であるにも関わらず、キャメラが縦横無尽に動いています。
撮影監督は、名匠ハリー・ストラドリング。
フランス映画からハリウッド映画の黄金時代を支えたこともあり、彼の代表作品は無数にあります。
じっさい、1938年にすでに『ピグマリオン』を撮っているだけあって、『マイ・フェア・レディ』はお手の物だったことでしょう。
オードリーの最高の瞬間を支えているのが、女優専門監督のキューカーと名匠ハリー・ストラドリングなのです。
後年、ハリー・ストラドリングは、かのウィリアム・ワイラーと女優バーブラ・ストライサンドとで、再びミュージカルの傑作『ファニーガール』(1968)を撮り上げます。
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