本日4月8日はクリスティーヌ・ボワッソンの生誕68周年です。

(1956年4月8日、フランス生まれ)

 

クリスティーヌ・ボワッソンについては、聞きなれない方も多いでしょう。

 

フランスのモデル事務所に応募したクリスティーヌは、当時写真家だったジュスト・ジャカンの目に留まり、1974年に『エマニエル夫人』で助演役でデビューしました。
その後、パリ演劇学校で演劇を学び、1980年には、ジャック・ブラル監督の『Extérieur nuit』で再び映画界に登場します。

アントニオーニの『ある女の存在証明』(1981年)などで、1984年にロミー・シュナイダー賞を受賞しました。

 

他にも、イヴ・ボワセ(1988年『Radio corbeau』)、クロード・ルルーシュ(1990年『夏の月夜は御用心』)、エリー・シュラキ(1993年『メランコリー』)、オリヴィエ・アサイヤス(1993年『Une nouvelle vie』)などにも出演しました。

彼女の作品で、忘れがたいのはこちらの作品です。
 

『自由、夜』(1983)
監督 フィリップ・ガレル
共演 モーリス・ガレル、ラズロ・サボ、エマニュエル・リヴァ
撮影 パスカル・ラペルーザス 

【あらすじ】
アルジェリア独立に反対する極右OASがテロを繰返すパリ。
アルジェリア解放戦線を支援する活動家ジャンは娘を抱えながらも妻ムーシュとの関係に悩み別居中。
彼らを取り巻くのは人形使いのラズロらだ。
テロの高まりの中、ジャンはついに離婚を決意する。
そして彼の気持ちを理解できずに悲しみに沈むムーシュは一人、アルジェリア人達の手助けをしてOASの標的となり殺されてしまう。
傷心の中出会ったアルジェ生まれの女性、ジェミナにジャンは何故か激しく魅かれてゆく。

 



ここでは、ある批評家のあまりにも美しい文章を引用させていただきます:

 

目覚めると、あなたがいない。

シーツの襞はあなたの痕跡を残しているというのに、わたしを腕に抱いていたあなたの身体の確かさは、曖昧な境界線の向こうの眠りの中にしか求めることはできない。
わたしは情事の疲れについむさぼってしまった眠りに唇を噛み、急速に恐れにとらわれてゆく。

あなたがいない。

わたしは窓辺にかけより、あなたの名を叫ぶ。(...)
いつかこんなことが起きてしまうのではないかと、わたしはどこかで知っていた(...)

あなたが目の前にいて、わたしはその頬を愛撫していてさえも、あなたを愛するということは、あなたがいままここにあることの不確かさ、寄る辺なさを感じる、その痛みとしてしかありえなかったから。
瞼を閉じるそのたびに、わたしはいつも怯えていた。
一瞬の闇のあと、再び瞳が光を映しても、そこには、あなたがいないのではないかと。(...)

フィリップ・ガレルの『自由、夜』は、映画を見るという体験が、誰かを愛することと同じように、その現前の危うさへの震えとしてあることを、感じさせてくれる。
(木下千花)

 


1960年代以降の新しい映画作家たちは、ゴダールやトリュフォーのようにさえ、映画を撮れないという自覚から、試行錯誤した末に、固有の文体を生み出します。
(さえ、と言ったのは、ゴダールとトリュフォーもまた、ハリウッドクラシックのような映画を撮れないという自覚があったうえで、一種やぶれかぶれで映画を撮った映画作家だったからです。)

『自由、夜』で、フィリップ・ガレルが2人の女優を起用しながら実現しているのは、上記に記したような「震え」としての文体です。

急いで付け加えますが、それはタルコフスキーやベルイマンらの「芸術」的な「繊細さ」とは違います。

タルコフスキーやベルイマンは、決して悪くはないのですが、映画としてはどこか物足りなさがあるのに対して、このフィリップ・ガレルの映画には、生々しい「震え」があるのです。

 

何も難しい話をしているのではないです。

画面にみなぎっている生々しさを、震えと呼んでみただけなのです。

再び、批評家の言葉を引用して、この稿を閉じます。

 






 

あなたは、あたかもいまここで生まれたばかりであるかのようにわたしの瞳に映っている。
わたしはそのとき痛みと共に、ありありとわかる。
これがわたしがあなたを愛していることということに他ならないと。

生まれたばかりのまだ柔らかなあなたは、これ以上ないくらい確かにわたしの前にいるのだけど、
また、だからこそ、いつ消えてしまうともしれなくて、わたしの怯えは止むことはない。

(...)ガレルの映画は、誰かを愛するような体験を観る者に強いる。

 

(木下千花)


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