4月15日のグレタ・ガルボの没後34周年を記念して、ガルボの作品をご紹介します。
(1905年9月18日生誕 - 1990年4月15日死没, 84歳)

 

「ガルボの顔には、その中にすべてを投影できるような一種の空虚がある」
(シモーヌ・ド・ボーヴォワール)

 

「ガルボが笑うとき、彼女は、金属性の物質にも魂があることを証明する。」
(セシル・ビートン)


ガルボは、映画女優史上最高に完成された造型の持ち主なのですが、コメディエンヌとしても素晴らしく、この傑作を残しています:

 

『ニノチカ』(1939)
監督 エルンスト・ルビッチ
共演 メルヴィン・ダグラス、シグ・ルーマン、フェリックス・ブレサート、べラ・ルゴシ
撮影 ウィリアム・ダニエルズ

【あらすじ】
ソ連からパリへ、3人の役人がやってきた。彼らの使命は、貴族から没収した宝石を売り払うことにある。
それを知った亡命婦人は、恋人に命じて、売却を阻止する。そこで、ソ連政府は、ニノチカという名の女幹部を派遣した。

【リメイク作品】
『絹の靴下』(1958) 出演:フレッド・アステア、シド・チャリシー


監督は、ハリウッド黄金期の最高のコメディ監督のルビッチです。
ルビッチ映画の常連のメルヴィン・ダグラス、シグ・ルーマン、フェリックス・ブレサートが出演しています。
『魔人ドラキュラ』で知られているべラ・ルゴシも出演しています。


ガルボがソ連共産党員の役で登場するのですが、口を開くだけで可笑しくなる映画です。



人民服を着たガルボが、パリのモードファッションの帽子を見て
「こんな帽子を被る国は滅びてしまうだろう」
と言ったり、ダンディなメルヴィン・ダグラスに対し
「あなたような男がいない我が国は安泰である」
となどと言います。








しかしながら、ガルボの心が、徐々に開かれていていく様子が、コミカルであるだけでなく、同時に感動的です。

先のモード風帽子を、後で買い求め、こっそり被って、鏡で似合うかどうか確認する可愛らしさ。




メルヴィン・ダグラスの部屋を訪れたガルボが、警戒心でその強面な無表情を貫きながら、キスに応じるラブシーンも、ロマンティックコメディとして絶品です。

 







最も素晴らしいシーンは、そんなガルボに「笑ってくれよ!」とメルヴィン・ダグラスが、口説く食堂のシーンです。
ダグラスのジョークにクスリとも笑わないガルボが、あるきっかけで大爆笑するのですが、そこには、一捻り二捻りあります。





大爆笑するガルボのその笑い方の、遠慮や配慮を一切しない点に、大胆さに思わず頬が緩みます。
そして、メルヴィン・ダグラスが気取っていた自分を笑い飛ばすことにも、すがすがしさがあります。

最後に、2人の距離が、画面上でも、雰囲気的にも、縮まっており、その幸福な展開に、心が和みます。




いずれも、映画通や好事家が悦に入って面白がるような解釈やトリビアではありません。

画面に起きていることだけを記述しただけです。隠された解釈などありません。

観る者の心がいつの間にか温かくなってしまうほど、分かりやすく、透明性を持って演出されているのが、粋な職人芸「ルビッチタッチ」です。


ガルボがモスクワに戻り、部下だった3人組と慎ましい宴会をするシーンは、幸福な連帯感があって、実に叙情性に溢れています。





その宴会の場に、メルヴィン・ダグラスから届いた手紙を、ガルボが開くと、検閲により、手紙が黒く塗りつぶされています。



落ち込むガルボに、3人組の一人が、ガルボにかけるセリフは、大変素晴らしく、思わずホロリと来てしまいます。
「思い出までは検閲されない」

 

 

 


そして、感動のラストシーン。
イスタンブールのホテルのバルコニーに姿を見せるメルヴィン・ダグラスには、一瞬涙がこぼれそうになります。





近年のいわゆるラブコメには無い、洗練された粋なストーリー展開と、最高のモノクロームの映像美が、この時代のハリウッドにはあります。

ルビッチの演出の素晴らしさについて書いてしまいましたが、ガルボもコメディエンヌとして優れています。

無論、お約束のギャグや、顔芸などやることはありません。

映画におけるコメディアンやコメディエンヌとはそういうものではありません。

 

『クリスチナ女王』のときのように、崇高な存在ではなく一人の女性としての存在であることが、映画のコメディエンヌに求められていることの1つです。

ときに見せるスマイルの可愛らしさがそれを示しています。

 

ディートリッヒもコメディ『真珠の首飾』(ルビッチ製作)に出演していますが、この作品には残念ながらかないません。

優劣つけがたい2人ですが、コメディに関してはガルボに軍配を上げざるを得ません。

 




#グレタガルボ
#ガルボ
#エレガンス
#スウェーデン女優
#映画女優
#女優志願
#女優志望
#女優好きな人と繋がりたい 
#クラシック映画
#最も偉大な女優
#クールビューティ

#cinemaclassic 
#classicmovies 
#vintagemovie
#hollywoodlegend
#oldhollywood
#vintagehollywood
#classichollywood
#goldenageofhollywood
#actress
#elegance
#gretagarbo 
#sweden 
#sverige
#coolbeauty

#ernstlubitsch
#ニノチカ
#コメディ
#comedy
#コメディエンヌ
#ルビッチ