映画『地下鉄のザジ』基本情報

1960年/フランス/93分/カラー

監督:ルイ・マル

出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、カルラ・マルリエ ほか

 

 

 

『地下鉄のザジ』 【6-3】

 

 

 ザジからみれば母の弟なので、ガブリエルは叔父さん。パリ在住で、芸術家とのこと。綺麗な奥さんはアルベルティーヌ(カルラ・マルリエ)。母から放り出されている間、二人が暮らすアパルトマンに寝泊りすることになった。ザジが短いパリ滞在中に楽しみにしていたこと、それはパリの地下鉄に乗ること。なのに到着初日から、地下鉄は「スト決行中」だった。

 

 夜の11時から舞台に立つガブリエルおじさんは、起きてくるのが遅い。翌朝、まだおじさんが寝ていることを確認すると、ザジはそっと家を抜け出す。今日こそ地下鉄に乗るためだ。家主が止めるのも聞かず、パリの街をどんどん歩き出す。最寄りの地下鉄駅を見つけるのだが、出入口は施錠されたまま。今日もまた、地下鉄は動いていなかった!悪態をつき、しまいにはベソをかくザジ。そこに色んな人が絡んできて、ザジを中心に、パリに居合わせた個性豊かな大人たちが振り回される。果たしてザジは、念願のパリの地下鉄に乗ることが出来るのか・・・。

 

 1989年製作の『ニュー・シネマ・パラダイス』での映写技師アルフレード役もそうだが、フィリップ・ノワレって、悪ガキとの相性が、とても良い。髪の量に変化はあっても、ザジとのツーショットが絶妙に和めるのだ。親猿の背中に乗っかる子猿の、あの自然な組み合わせとでもいうか。ニタっと笑う瞬間に覗くザジの前歯の隙間、トレードマークの朱色のセーター、棒のような脚。そのザジを大柄なおじさんが軽々と抱き上げる。この安心感に満ちたカットがあるので、ハチャメチャな映画でも、一息つける。なんだか幸せな気分になるのだ。

 

“続く”