映画『地下鉄のザジ』基本情報

1960年/フランス/93分/カラー

監督:ルイ・マル

出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、カルラ・マルリエ ほか

 

 

 

『地下鉄のザジ』 【6-2】

 

 

 それは一方で、若手俳優のチャンスを奪うことになるのかも知れない。ショーン・パトリック・フラナリーだけでなく、『アデライン、100年目の恋』で若年期のハリソン・フォードを演じた俳優もいたが(アンソニー・イングルバーという俳優らしい)、ハリソン・フォードがとても若かったなら、こんな感じだったかも知れないと思わせる雰囲気を漂わせていた。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では、オールデン・エアエンライクが若きハン・ソロを演じていた。

 

 『007』シリーズのように、一定の期間が経過すると、同じ役柄や設定を別の俳優が演じるものもある。人間誰しも老い、いつかは命尽きる。人気シリーズに常に新鮮な息吹を感じさせ、存続させるには、この方が自然だった。もしハリソン・フォードが亡くなった後、若きハリソン・フォードが主演するまったく新しいインディ・ジョーンズ作品が次々と作られたり、ハン・ソロが、宇宙版『トランスポーター』のようにミレニアム・ファルコンで銀河狭しと飛び回る作品が次々と作られたとしたら・・・。それは“新作”であり動画ではあるが、実写版と呼ぶのか?要はそれを観たいと思うか、思わないか、か。最終的には観客が決めることになる、のか・・・。次々と疑問が湧いてくるが、映画も不思議な時代に突入しそうだ。なぜ“ハリソン・フォード”なのかは、単にイメージしやすかったから、だけです。

 

 で、さて、本題に戻りまして、今回の作品は、ルイ・マル監督の1960年製作のフランス映画、『地下鉄のザジ』。オープニングは、電車の先頭車両から見える鉄路の風景と、そこに被さる軽やかな口笛。地方に住む主人公のザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)は、母に連れられパリへと向かう。ザジのお母さんのジャンヌは、新しい恋人ができると家族のことは二の次になる性格。弟であるガブリエル(フィリップ・ノワレ)に娘のザジを預けると、「あさっての朝、6:30の汽車で!」と言い残し、駅に迎えに来ていた恋人にお嬢様抱っこされたまま、有頂天で立ち去って行った。

 

“続く”