映画『大統領の陰謀』基本情報

1976年/アメリカ/138分/カラー

監督:アラン・J・パクラ

出演:ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード、ジェイソン・ロバーズ ほか

 

 

 

『大統領の陰謀』 【6-2】

 

 

 そんな史実をおさえつつ、物語は、大統領選の行方がまだ定まらない5ヶ月前、様々な思惑が交錯し、様々な工作が仕掛けられている、一瞬の油断も許されない、まさに選挙運動の真っ最中である1972年の6月1日から始まる。一文字一文字、人の指の力で印字されるタイプライターの英数字が、長い闘いの幕開けを告げるかのように、まっさらな白い紙に独特な音とリズムで、力強く打ち込まれる。

 

 民主党本部で不法侵入者が逮捕されたことが、ワシントン・ポスト紙に伝わる。所持金の殆どは、100ドル札の連番。入社がまだ9ヶ月のボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)に、取材の指示が出された。それを立聞きした若手記者のカール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)が、「ウォーターゲート・ビルの関係者に知人がいる」からと、会話に割り込んでくる。当初はただの窃盗事件だと思われたが、官選弁護士ではなく、既に弁護士がついているとのこと。「窃盗犯が自前の弁護士?珍しいな」。ウッドワードは裁判所に向かう。栗色の髪と同色のスーツに、ブルー系のワイシャツ、シンプルな濃色のネクタイ姿のレッドフォードは、かっこつけてないのにカッコいい。

 

 逮捕者のホテルの部屋から、所持品である住所録に「W・HのH・H」、「ハワード・ハント、W・ハウス」の記載が見つかり、早速ホワイトハウスにハワード・ハントの所在を訊ねる。すると、ハワード・ハントはチャールズ・コルソンのもとで働いていることが分かる。チャールズ・コルソンは、ニクソン大統領の特別顧問。この国の最高権力者の側近だ。ハワード・ハントは1970年まで、CIAに在籍していた。大統領府が絡む可能性があり、これは危険なネタ。記事は気を付けて書かなければいけないことになった。

 

“続く”