映画『レインマン』基本情報
1988年/アメリカ/134分/カラー
監督:バリー・レヴィンソン
出演:ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、ヴァレリア・ゴリノ ほか
『レインマン』 【5-5】
フェラーリ400は、1972年に登場した365GT4 2+2が元になっている。ピニンファリーナのレオナルド・フィオラバンティによるノッチバックスタイルのボディは、モダンでクリーンなデザイン。6代目ニッサン スカイラインのマイナーチェンジで1983年に登場した、“鉄仮面”と呼ばれるフロントをもつ2ドアハードトップに、似ているようだが、やはりまるで違う。それぞれに良さはあるだろうし好みもあるけれど、シンプルな直線を基調としながらも気品さえ感じさせる“400”のデザインは、さすがフェラーリ、さすがはピニンファリーナ。
その後5リッター化して、400は更に412となり、細部に変更が加えられる。1991年に生産中止となる
まで、365GT4 2+2のデビューから数えると20年近くの長きにわたってフェラーリの長寿モデルとなったが、
1980年代後半からは次第にカタログにも載らなくなったとのこと。本編では1988年の時点でチャーリーが自家用車として乗ってはいるが、フロントエンジンのフラッグシップモデルではあるもののフェラーリとしては旧態化しており、見栄の具現とも受け取れる。
自分のなかでは当たり前の、疑う余地もない合理性、効率を追い求めたいチャーリーは、レイモンド(ダスティン・ホフマン)のせいで、その対極の行動を強いられ続ける。でも、効率最優先では決して見つけられなかった答え、時間の経過と共に感じる、何か大切なもの・・・・・・。それはじっくりと向き合い、同じ時を過ごすことでしか見出せないものなのかも知れない。
発酵食品のようにゆっくりと熟成し、最後には極上の余韻を残すこの作品に、早送りは厳禁。たゆたうハンス・ジマーの曲を耳にしながら、チャーリーやレイモンドと一緒にロードマスターの後部座席に身を任せ、広いアメリカを旅して欲しい。ダットサン サニーの2ドアクーペや、ピンク・キャディラックのおまけつきで。
参考文献
別冊CG「自動車アーカイヴ Vol.1」 二玄社
別冊CG「自動車アーカイヴ Vol.2」 二玄社
別冊CG「自動車アーカイヴ Vol.8」 二玄社
別冊CG「自動車アーカイヴ Vol.11」 二玄社
別冊CG「自動車アーカイヴ Vol.13」 二玄社
別冊CG「自動車アーカイヴ Vol.17」 二玄社
「ワールド・カー・ガイド・DX 8 フェラーリ」 ネコ・パブリッシング