映画『キラー・エリート』基本情報

2011年/オーストラリア、アメリカ/117分/カラー

監督:ゲイリー・マッケンドリー

出演:ジェイソン・ステイサム、クライヴ・オーウェン、ロバート・デ・ニーロ ほか

 

 

 

『キラー・エリート』 【6-4】

 

 

 そんな時、ある病院で監視を続けていたスパイクが、医師の白衣を脱いで車に乗り込む男を視線の先に捉えた。スパイクは部下に隠し撮りさせた写真と彼を、車内で照らし合わせる。その男とはダニー。ダニーもこちらを凝視する男を察知し、車を急発進させて逃走をはかる。2台のカー・チェイスが始まる。

 

 ここでダニーが運転するクルマが、“フォード コーティナ MkⅢ”だ。追うスパイクのクルマは濃緑色のジャガーXJ6。2台にぶつけられてへこんでしまうのは、今や日本では希少な初代のフォルクスワーゲン ゴルフ(ゴルフⅠ)。あゝっ勿体ない!

 

 話を“フォード コーティナ MkⅢ”に戻す前に、英国フォードについて簡単に触れておく。アメリカ資本による初のヨーロッパ進出として英国フォードが設立されたのは1911年というから、かなり長い歴史がある。最初はモデルTの国産化からスタートし、1932年には独自の小型車・モデルY(通称ベビー・フォード)を発売した。第二次世界大戦で中断していた乗用車生産は1945年の段階で戦前型の生産で再開され、戦後復興の一翼を担った。

 

 1960年代半ばでの車種構成は、下からアングリア、コーティナ、コーセア、ゼファー/ゾディアックの4つ。特に1962年に登場した小型車のコーティナはベストセラーを記録した。コーティナのMkⅠは当初、コンサル・コーティナと呼ばれていたが、1965年からはコンサルの名前が落とされ、単にコーティナと呼ばれた。ロータスのツインカムユニットを搭載し、サルーンカー・レースで強さをみせたコーティナ・ロータスは、コーティナMkⅠの2ドアをベースにしたもの。元祖“羊の皮を被った狼”として、今も一部の層に人気がある。アメリカ資本とはいえ、フォード GT40のル・マン24時間レース制覇や、1960年代の終わりに登場するエスコートやカプリ等、英国フォードはイギリス人にとっては馴染のあるメーカーだろう。

 

“続く”