映画『ジャッカルの日』基本情報

1973/イギリス、フランス/142/カラー

監督:フレッド・ジンネマン

出演:エドワード・フォックス、ミシェル・ロンズデール、デルフィーヌ・セイリグ ほか

 

 

 

『ジャッカルの日』 【5-4

 

 

 危険が迫っていることをド・ゴールに進言するも、国家の威信のため、彼は行事日程の変更を拒否。警備の強化もせず、捜査は内密にとの大統領命令が下される。逮捕歴のない外国人の殺し屋となると、OAS内に潜り込ませたスパイも無意味。特捜も、国境警備隊もお手あげ。48000の憲兵隊も警察も、手の打ちようがない。そこで警視総監から捜査の全権を任されるのが、老練なルベル警視(ミシェル・ロンズデール)。その助手キャロン警部役で登場するデレク・ジャコビが、とにかく若い。

 

 バカンスシーズン真っ盛りの南ヨーロッパを、幌をあげた白いスパイダーで走り出すあたりから、物語も本格的に動き出す。目的遂行のために何台もの車を乗り換えるがごとく、パリのある場所に向けて移動を繰り返すジャッカルはその間、何人もの民間人を、冷酷に踏台にしていく。

 

 ジェノバからレンタカーのジュリエッタ・スパイダーで、陸路フランスへ。路肩の古めかしいプジョー203からは、ナンバープレートを調達。白いプジョー404ベルリーヌに乗り換えると、何食わぬ顔で、一夜を共にした未亡人のモンペリエ夫人(デルフィーヌ・セイリグ)の住む館へ。そして夫人の屋敷から鉄道駅までの移動手段として登場するのが、“ルノー カラヴェル”だ。

 

 ルノーの大ヒット小型4ドア・セダン“ドーフィン”をベースに、小粋なボディを被せたパーソナル・カーが、“カラヴェル”。デザインを手掛けたのは、ギア在籍時のピエトロ・フルア。フルアがデザインする車はどれも、惚れ惚れするよな美しさだ。ドーフィン同様、エンジンをリアに縦置したルノーお得意の後輪駆動車。当初、“フロリード”としてパリ・サロンで発表された2シーターのオープン・モデルなので、フロリードとも呼ばれるが、さほど長くない製造期間のうちに幾度か変更があり、最終的にはカラヴェルの車名に統一された。

 

“続く”