原題は、単に「T-34」とあっさりしている。
ジャンル的には戦争モノ。第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ軍の捕虜となったソ連兵4人が、たった1台の戦車で敵に立ち向かう姿を描いた痛快アクション映画である。
ロシア本国ではロシア映画史上最高のオープニング成績を記録。最終興行収入は40億円を超え、観客動員800万人という驚異的な数字を叩き出したとのこと。
口コミでも面白いと評判だったので行ってきたが、なるほど楽しめた。ロシア映画なんて久しぶりだ。
第二次世界大戦中、ソ連軍の有能な若い士官イヴシュキン(アレクサンドル・ペトロフ)は、独ソ戦の最前線での奇襲攻撃を命じられるが、敗れて捕虜となってしまう。
捕虜収容所に送られたイヴシュキンは、戦車の指揮官であったことから、収容所で行われている戦車戦演習のため、捕獲したソ連戦車T-34の操縦を命じられる。そのT-34は実弾を装備せず、演習では敵の砲火から逃げ惑うことしかできないはずだったのだが・・
戦争映画というよりはエンターテイメント色の濃いアクション映画で、戦争映画が苦手な女性でも充分に楽しめる。興行的な成功の要因はそこにある。
もちろんミリタリーマニアが観ても納得できる内容となっている。
戦車vs戦車の戦いはVFXを多用。アニメ的なビジュアルも駆使して魅力いっぱいに描かれている。一般に戦車というものは前面装甲が分厚いため、上面や側面を狙うのだが、いかに早く相手の側面に回り込むことが大事かということがよくわかる。また敵の砲弾を受けた場合、貫通しなくても車内に伝わる衝撃と音はすごいものがあり、そのあたりもきちんと描写されていて、リアル感に溢れるバトルシーンであった。
ストーリーはテンポが速くてわかりやすい。脱獄モノ的な爽快さも味わえる一方で、主人公とアーニャ(イリーナ・ストラシェンバウム)という女性とのロマンス要素も入っているという欲張りな構成である。
ストーリー的にはご都合主義であり、全体に話が上手すぎるのだが、そこは娯楽映画ということで目を瞑ろう。
T-34はソ連の中型戦車で、主砲の口径は85mm。ドイツの誇るパンサーやタイガー等の強力戦車と比べると地味だが、そこはソ連らしく、数の多さとしぶとさでソ連の勝利に貢献した名戦車である。
この映画を観ると、ロシアがドイツにいかにコテンパンにやられてきたかがよくわかる。そのドイツに一泡吹かせるという筋書きが現在のロシアで大受けしたのもよくわかる。
ちなみに劇中で話される言語はロシア語とドイツ語が大半で、英語はごく僅か使われているにとどまる。
