役所広司と松坂桃李主演のヤクザもの。
監督は、「凶悪」や「彼女がその名を知らない鳥たち」等の白石和彌。
口コミ評価がなかなかよろしいようなので、期待していたのだが、つまらなかった・・
1988年頃の広島の呉原という架空の街を舞台に暴力団同士の抗争を描いている。
呉原東署に勤務するベテランの大上(役所広司)と新人の日岡(松阪桃李)はタッグを組んでいる。二人はマル暴の刑事である。
この地では、尾谷組と加古村組という二大勢力が激しい争いを繰り広げていた・・
役所演じる大上という男は、暴力団と癒着しながら、強引に捜査を進める。暴力団から金を受け取るのも当たり前。暴対法成立以前のこの時代においては、実際にこれに近い刑事もいたのかもしれない。
余談だが、僕も含めてだが、人はなぜヤクザ映画に魅せられるのだろうか?
かつてはそれを「非日常性」という言葉で説明できたと思うが、今の時代においては、「滅びの美学」ではなかろうか? IT化、グローバル化が進展すると、ヤクザの飯のタネ(しのぎ)はどんどん少なくなっていく。法整備も進んでいくし、ヤクザはますます追いつめられる。将来性が無いから、志望者の数も減り、その結果、構成員の高齢化の問題もある。この業種が50年後に残っている可能性は極めて少ないだろう。未来の人はヤクザ映画を観て、「へえー昔ってこんな人たちがいたんだ・・」と感心するのかもしれない。
ところで、ヤクザ映画と言えば、北野武監督の「アウトレイジ」3部作が個人的には大好きだ。完成度でも群を抜いている。それと比べてしまうと、この「孤狼の血」はかなり苦しいと言わざるを得ない。
ストーリーも画一的かつ表面的だし、演出面でも物足りない。本物のヤクザも刑事も知らないが、何となく「アウトレイジ」に出てくるヤクザや刑事の方が本物っぽいのだ。「アウトレイジ」はデティールへのこだわりがあるし、何より金が掛かっている。それが醸し出すリアリティはやはりすごいものだと思う。
それにしても、役所広司ってどうしていつもこういう「不潔感のあるおっさん」になってしまうのだろう。このビジュアルが苦手な人は少なくないだろう。しかもこの大上刑事の言葉が妙に説教臭いのもいただけない。そもそも全体的にセリフが多すぎるし・・
共演の松阪桃李の演技力も不満。残念ながらミスキャストだな。他の出演俳優も、ピエール瀧をはじめとして、「アウトレイジ」との重複が少なからずあって、既視感があるのも損だと思う。
女優はクラブのママ里佳子役の真木よう子と大上が世話になっている薬局で働く薬剤師の桃子役の阿部純子。真木よう子は役作りもあるのだろうが、かなり老けて痩せたように見える。 桃子の方は日岡と恋仲になりかける。「アウトレイジ」が女性の出演者がほぼ皆無の徹底した男の映画であることと比べると、本作はその意味でも平凡である。
残酷シーンやグロシーンがあるということで、R15+のレイティングになっているが、そちらの方は大したことない。
