リズと青い鳥  2018年  日本  90分  ★★★ | 新作映画の評価 どれを観ようか? ネタバレなし

新作映画の評価 どれを観ようか? ネタバレなし

映画が大好き。都内千代田区在住です。

評価は5段階で
★★★★★ 最高! 面白い! もう1回見たい!
★★★★  オススメ 見ておくべき1本です
★★★   普通かな? 見て損はない
★★    うーん、ちょっと微妙かな?
★     つまらん

 

「映画 聲の形」で高評価を得た山田尚子監督作品。

「響け!ユーフォニアム」というTVアニメの新作劇場版ということだが、僕は詳しいことは知らない。有楽町のよみうりホールで行われた試写会にての鑑賞である。

 

 

舞台は京都(ただし京都らしい風物は一切出てこない)。北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美は親友同士。

3年生なので卒業後の進路を考えなくてはならない時期であるとともに最後となるコンクールを控えていた。コンクールの自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロパートがあったが、2人の掛け合いはなぜかしっくり行っていなかった・・

 

90分と短めの尺である。話を校内の出来事に絞り込んだ思い切った構成である。TVアニメ版を観ている人を前提に作られているフシが見られ、序盤は説明不足が顕著で、なかなか話の中に入っていけない感じだ。

主役のみぞれは一風変わったキャラ。大人しくて、自分を出さない。はっきり言って暗い。無気力でメンヘラなのかとすら思えてくる。一方、親友の希美は快活なキャラ。

希美は誰とでも仲良くできるタイプだが、みぞれは希美しか友達がいないようだ。

 

「リズと青い鳥」という絵本は、作中に登場する架空の物語。パン屋で働くリズと、突然やって来た少女(実は青い鳥)との出会いと別れを描いている。劇中劇あるいはダブルプロットのような関係で、みぞれ達の話とシンクロする。

みぞれと希美。どっちがリズでどっちが青い鳥なのか?を観る側に考えさせるようになっている。

 

アニメの作画は不満ではないものの、やや物足りなく感じた。絵としても最新のアニメとしては別段美しいとは思えず。一方でカメラワークへのこだわりが見られる。特に登場人物達の足元だけを執拗に描写するシーンがやたらに多い。「見たいものを敢えて見せないテクニック」というわけか。昔のフランス映画などで好んで使われた手法だが、アニメでやるにはどうだろうか?

 

クライマックスの演奏シーンはアニメとは思えない重厚なものであった。マジで全楽章聴きたいと思った。そしてその演奏において、決定的な事実が判明する。そして2人の関係は・・ ここで再び、どっちがリズでどっちが青い鳥なのか?という話になるわけだ。

 

ちなみに本作を鑑賞した数日後、某所でフルートの生演奏(ミニコンサート)を聴く機会があった。木管楽器の柔らかな音色に心が癒される思いだった。

 

上質なアニメというと、一連のジブリ作品や「君の名は。」のようなメジャーなものに目が行ってしまう傾向があるが、本作は至って地味でマイナーな小品である。が、質の高さということでは、決して見劣りしない。日本アニメのレベルの高さと奥の深さ、層の厚さを再認識した次第である。