『Smile スマイル』
映画『Smile スマイル』監督:パーカー・フィン出演:ソシー・ベーコン、ケイトリン・ステイシー、カイル・ガルナー原題:Smile制作:2022年、アメリカジャンル:ホラー上映時間:115分視聴方法:Netflix≪あらすじ≫精神科医ローズ(ソシー・ベーコン)の眼前で自殺をする女性患者ローラ(ケイトリン・ステイシー)。他の人には見えない何かが襲ってくると悲鳴を上げ怯えていた彼女は直後、ローズへ笑顔を向けながら、自分の首元へ割れた花瓶の破片を当てていた。自殺を目撃した者に伝染する悪夢。それ以降、ローズの現実は不吉な笑顔の幻影に囚われていく。ずっと観たかったホラーをようやく観れて歓喜。途中ダレはあったものの序盤から引き込まれ、終盤も納得の着地で満足。良かった。ゆったりとしたパン撮影、反転や俯瞰、粘りつくようなカメラワークはニヤけてしまうくらいに快感。ホラー映画としてのつかみは個人的には十分だった。カウンセラーのローズからしても与太話かの様に扱われ、ローラの恐怖や憂懼は理解されないまま霧散し、同時に彼女は誰の手も届かない孤独の深淵へ堕ちる。そう思うとあの笑顔の表現には、恐怖心に抵抗したい、逃れたい、恐怖や悲愴、生への渇望といった人間の本能の投影、そしてそれが混在したシーンを見ている様で少しばかり切なかった。ローズの精神は悪夢に取り込まれていく。婚約者、姉、昔の自分のカウンセラーなどからの無理解、狂人扱いがそれを助長して、結末はしっかりと期待通りの笑顔と供に堕ち切ってくれる。ツッコミどころは多いと思う。ローズ本人はカウンセラーなのにメンタルが割とお豆腐でヒステリック。でもあれだけの恐怖体験をしていれば仕方ないかとも言えるけれど。殆どの登場人物がローズを見捨てるのでそれはそれでなかなかの胸糞要素。殆ど唯一味方してくれるのが元恋人?の警官(カイル・ガルナー)。彼のことは一度ローラの自殺の件で心配してくれていた所を冷たくあしらったのに、他に当てが無いと図々しくも助けを求めるローズ。そう、少し自分勝手。でもだからこそ、結末は胸糞を感じる取る人もいるかも知れない。自分の場合は一切感じることもなく、最後はどちらが笑うのかと考えていた所を両パターン見せてくれたのでそういう意味でもすっと受け入れられるもので気に入った。あとは、取り憑かれ悪夢から醒める方法として誰かを殺す、という設定。これこそ何か醒めるような、無難すぎて嫌だったけれど、人を殺してでも助かりたい、それはその人間の心奥にある怖れから来るもので、そこに侵入して操る悪夢の正体の無慈悲さ故かも知れない、ということにして納得。ホラーの濃度で言うと個人的にはそれほど。ジャンプスケアが多少あるけれど、基本的にはジワジワ系。ローラの笑顔は普通に少し可愛く見えてしまったのは多分見方が歪んでるかも知れないけれど気にしない。だって良い笑顔だったんだから。死に方はなかなか鬼気迫るもので良かったぞ、ローラ。あ、それと何か化け物が終盤登場するけれど全然怖くない。ローラの笑顔見習え。