オススメ最新作(※ネタバレあり)
※全国ロードショー前にfilmarks×ワーナーブラザーズ招待の試写会にて鑑賞してましたが、バタバタしており記事アップが遅くなりました。
劇場公開のラストランが近づく中、まだまだ公開が続いて欲しいと願っており、少しでも応援になるようこのタイミングですがオススメさせていただきます!
結論から言うと、自分の中では今作がシリーズで一番好きな作品になり、一番劇場で何度も観た作品になりました!!
「あなた」という表現が夫婦(めおと)の証だった時代の悲恋のお話です。
非常にエモーショナルでドラマチックな作品。
本格剣撃アクションと幕末の人間ドラマの中で、日本らしい情感がたっくさん込められており、ひと時も目が離せない作品に仕上がっていました。
鑑賞中、登場人物たちが次に何をするのか、何を言うのか、どんな表情をするのか気になって仕方がなかったです。
過去4作に比べて、今回のThe Beginningはアクションシーンは少なめです。
るろ剣といえばアクション!というイメージを逆手に取られ、このThe Beginningの世界観にぐいぐい引き込まれた自分がいます。
アクションが少ないぶん人間ドラマに重きが置かれ、地に足が着いている感じが非常に強く、今まで以上に大人に響く作品ではないでしょうか。
間違いないことがひとつ。
"シリーズ最高傑作"の謳い文句は、嘘ではないということです。
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
(2021)
※ここから先、多少ネタバレしてる箇所もありますので未見の方はご注意下さい。
もうね、ポスタービジュアルのクオリティーよ!
ドラマチックで綺麗で、作品の完成度がそのまま現れてますよね。
このポスタービジュアルの元になった、最後のクライマックスのシーンの構図というか画が綺麗でたまらんのです。
この画が撮れた瞬間、この映画の勝ちは確定してたような気がします。
一面真っ白な雪に包まれた銀世界と真っ赤な鮮血の対比や、大きな斬撃の動きと倒れゆく人をスローモーションで捉えたあのシーンは大友監督作品の中でも屈指の名シーンに仕上がっていると個人的には思ってます。
今作で描かれる物語は、原作のエピソードを大きく広げたOVA作品が大きなベースになっています。
そのOVA作品はファンの間でも非常に人気が高い話とのことなんですが、その人気の理由は現実味を帯びた物語でシビアで大人な話になってる点。
そのポイントは正に今回の実写化のトーンにはドンピシャで、大友監督が手がける材料としてはこの上なく相性よいわけです(^^)
それは観る前からなんとなく分かってたんですが、実際はそれを超えてきてましたねー。
シリーズを通して製作者たちがテーマにされていた「感情が見えるアクション」というものがあります。
本作はアクションは少なめですが、人間模様の中で目まぐるしく動く感情がアクションに取って代わっていました。
ちなみに、たしかにアクションは量でいえばシリーズ最少かもですが、密度が違いました。
とにかく濃い。
それは人斬り時代の剣心を描いてるので、飛天御剣流が「打撃」ではなく「斬撃」になっていることが大いに影響してる気がします。
鬼心という言葉が思い出されるほど、容赦なく人を斬っていく荒んだ剣心を観ることができます。
お互いに真剣の勝負となる殺し合いの雰囲気がビシビシ伝わってくる緋村抜刀斎vs沖田総司の戦いは、シリーズ屈指の名勝負に仕上がっていました。
そんな人斬り描写や血の京都が出てくる一本の時代劇として面白かった!
『龍馬伝』を観てる時のような感覚───その世界に入り込んだような感覚に陥りました。
(自分は大友監督の時代劇が好きなんだなーと再実感)
ではでは、シリーズにおいて終わりの始まり、剣心にとって始まりの始まり、そんな映画のあらすじご紹介!
「まだ傷は一文字だよ」
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■『るろうに剣心 最終章 The Beginning』あらすじ
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動乱の幕末。
緋村剣心は、倒幕派・長州藩のリーダー桂小五郎のもと暗殺者として暗躍。
血も涙もない最強の人斬り・緋村抜刀斎と恐れられていた。
ある夜、緋村は助けた若い女・雪代巴に人斬りの現場を見られ、口封じのため側に置くことに。
その後、幕府の追手から逃れるため巴とともに農村へと身を隠すが、そこで、人を斬ることの正義に迷い、本当の幸せを見出していく。
しかし、ある日突然、巴は姿を消してしまうのだった…。
(映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』公式サイトより)
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■オープニング
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プロデューサーはPG-12でもR-15でもいい覚悟で作ったとインタビューで語っており、その決意が表れた演出が随所になされていました。
アクション監督の谷垣さんは、「これまでのシリーズとは温度感違うよ、ということを冒頭で伝えたかった」と言っていますが、そのオープニングが素晴らしい!
めっちゃ引き込まれます。
そんなシーンでも格好いいなぁと思わせるのが、刀狩のゾロも真っ青の「咥え刀」!これが格好いい!!笑
他にも相手の顔を樽の中に押さえつけたまま樽ごと刺す→樽から赤い水が流れるシーンや、手縄が解けて自由になったあと剣を構えて周りをゆっくり見渡すシーン(剣の血を払うために少し振る動作付き)、剣先だけで何かのついでのように倒れた相手の喉を切るシーンなど、容赦ない暗殺描写となっており、「これまでのシリーズとは一線を画すよ」という宣言になっています。
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■シリーズ完結にして始まりの演出/他作品との繋がり
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今回の作品、どう終わるんだろうと思ってたんですが、まさかあのシークエンスで終わるなんて!
演出がニクすぎます♪
この映画と一作目で環になりシリーズが完成する、ということを表した作品構成になってましたね。
最後の最後、「それじゃあ行ってくるよ。巴。」の台詞にゾクゾクゾク〜〜〜〜〜〜!!っときました(ー▽ー)
にしても、10年以上前に撮った絵が違和感なく差し込まれてハマってるってすごくないですか?
それだけ作品のトーンとか描きたいものがぶれてないって証拠だと思います。
巴との一件から新時代到来を経て、「おろ」とおどけてみせる処世術を見出すまでの姿に変化を遂げた『消していた10年』が気になりますが、そこは描かない方がシリーズ全体としては魅力的なのでこれが最適解な気がしますね(^^)
あとはシリーズの他作品との繋がりがさりげなく差し込まれてるのもニヤッとしてしまいました。
さりげなく志々雄真実のことが語られてたり、八つ目無明異とか、剣心の頬に傷をつけた刀が巴の遺体の上に置かれて焼かれるところとか、その後のシリーズに繋がる演出が多数。
赤空の「俺の刀が新時代を作る」という言葉も、意図とは別の形で活きてきますしね。
(『京都大火編』以来、久しぶりに赤空が登場したのもファンには嬉しいところ)
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■「言葉にせずに物語る」という演出
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本作を観て改めて思ったんですが、言葉にしない演出ってやっぱりイイですねぇ。
最近の作品はやはり言葉にしすぎてるものが多い気がしているので、観客に考えさせたりするシーンや作品がもう少し増えてもいい気がします。
(描かなすぎて消化不良な作品もあるので、その辺りはバランスや好みもありますけどね)
禁門の変の後、ふたりで身を隠して暮らすかどうかの選択を迫られた時、剣心が引き続き巴を遠ざけようとする台詞を口にするのですが、それに対し巴は言葉ではなく諫めるような目で剣心を観ることで気持ちを伝えます。
他にも巴の胸中や苦しさや葛藤を手鏡を前に泣くシーンで表現していたり、剣心が荒んだ心の中でどれだけ桂小五郎を拠り所にしてるか(依存しているとも言い換えられますが)という心情を新撰組を前に涙するシーンで表現しています。
エピソード0的な本作のキーは、剣心の十字傷がどう付けられたかというもの。
その謎というか経緯は明かされるは明かされるんですが、肝心の傷をつけた理由は劇中で明確に言葉にされていたり説明されてはいません。(それがまたイイッ)
たまたま付けたという形ではなく、意図して傷をつけにいったという描写になってます。
劇中でも描かれている巴が剣心の頬に手を当て、剣心がそこに手を重ねるという描写が伏線になってますが、ふたりが結ばれた後の最初で最後の共同作業的な側面もあります。
あの末期の瞬間の巴の気持ちや剣心の気持ちがどういったものだったかは観客に委ねる形になっており、それを推し量るのが観了後にとても話が盛り上がるポイントになってるのではないかと思います。
自分の愛を伝えたかったのか、何かを残したかったのか、残すことで剣心が絆されることだったのか、最後の最後に少しだけ復讐を遂げ区切りをつける意図もあったのか、はたまた赦しなのか───そこの気持ちや理由は言葉にするのは野暮なのかもしれませんが、観た人と話してみたいポイントになります(^^)
ちなみに今作は完全に剣心と巴を描く物語ですね。
お互い「相容れるつもりはない」という意思で出会った二人。
動乱という異常事態の中で出会ったわけですが(異常事態の中で出会った男女は惹かれやすいという『スピード2』のセリフを思い出しましたw)、時代が時代とはいえそんな二人がなぜ惹かれあっていったのか?
個人的な所感ですが、人斬り時代の剣心は実は童貞だったのではないかと。(イジるとかではなく真面目に)
そこに魅力的か女性が(意図はどうあれ)積極的に寄ってきたら、意識しない方がおかしいですよね。
一方の巴。彼女も彼女で姉さん女房的なところや弱っている人を見ると放っておけない世話好きの一面もあったのではないかと思います。
(後半の手紙で語られる「段々とまともな状態になっていく剣心を見て嬉しく思う」というような台詞からも推し量られます)
もしかしたら精神を病んだ一人の男の介抱や看護という側面もあったんじゃないかと。
そんな二人の組み合わせは一緒にいる時間が長くなれば長くなるほど、その時間に比例して惹かれあってしまう、
ただ、結果としてその組み合わせが悲劇のもとになるわけですが。。。
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■登場人物/役者について
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幕末を描いた時代劇なので既出キャラのビジュアルも結構違います。
剣心の髪結の位置が少し高い位置にあったり、斎藤一が新撰組の服装だったりetc.
それがね、どれも格好良い。
佐藤健の剣心についてハマり役すぎて自分なんぞが改めて語るなんてという感じですが、その剣心役の凄みみたいなのは一作目で鵜堂刃衛に放った「殺してやるからかかってこい」で完成されていたような気がします。
(それもこれも、シリーズ1作目の時から佐藤健がこの『The Beginning』のエピソードを強く意識して役作りに臨んだ結果ですね!)
今回もあの時間じたゾクゾク感を味わうことができました。
それは新撰組との邂逅シーン。
斎藤一に「逃げるのか」と言われた後の剣心の表情たるや!
一作目で鵜堂刃衛に対してキレた時の剣心と同じ人物がそこにいる!と感じられました。
無言の圧というかあの狂気めいた目ね。
惚れてまうやろ〜〜〜〜〜。
それと、有村架純はやっぱりすごい女優さんだわ。
剣心の懐に入り込む過程というかその時の立居振る舞いや言動、長州の攘夷志士の中でも剣心だけを見る姿などはともすればただのあざとい女というか、地に足のついてないマンガ的なキャラになってしまいそうなもの。
それをまぁ絶妙な説得力をもって体現してましたねー。
儚げなような、腹黒いような、芯の強そうな、それらがない混ぜになった表現をしてました。
クライマックスの辰巳に刃向かって倒れながらも外に目を向ける場面とかは、そのボロボロになる様子をきちんと現してたり、迫真の演技が随所に観られます。
あともうひとつ印象的なのが、剣心と巴の邂逅の場面ですね。
まさかの殺人現場に居合わせて、あろうことか巴は大量の返り血を浴びてしまいます。
(これ、現代でテロや殺人現場に居合わせたらと思うと、そりゃ卒倒するわなという感じです)
その倒れる直前、気丈に振る舞いつつ剣心に一声かける時の声のトーンや表情がなんとも画になるなぁと。
改めて好きな女優さんだなと痛感したシーンです。
その初登場の儚げな感じから、翌朝一宿一飯の恩とばかりにしれっと中居として働き出すところ、その動きを剣心に問いただされてのらりくらりと交わすところの捉え所のないところまで、余すところなく「巴」という人物の魅力をスクリーン上に映し出しています。
今回は完全に剣心と巴にフューチャーされた物語なので、この二人がすごいということはそのまま作品の凄みにつながってると思います。
それだけでもすごいのに、他のキャストの安定感もすごい。(磐石かっ!!)
北村一輝は最後の最後に登場するだけなのに、あの存在感ね。
村上虹郎くんは『銃』の演技が好きだったんですが、あそこで描かれた狂気とはまた違う形で狂ってる感を持って沖田総司を演じてます。
(さわやかな狂気というか笑)
そして巴の婚約者・清里を演じた窪田正孝くん、すごい…!!
1作目と今作で挿入される剣心による清里暗殺シーンですが、その時の何度も起き上がって死に物狂いで剣心に刃を向ける様子は、幕末動乱の凄惨さを雄弁に物語っています。
あと、(これはインタビューで知ったんですが)、剣心が清里にとゞめを刺した首への一撃。
その剣を抜く瞬間、首がずるっと一瞬持ち上がるリアリティは窪田くんの演技によるものだそうです。
多数の主演作や朝ドラの主役など、その後の活躍は必然だったんだろうと思います。
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■あえて…
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あえて。
あえて言うなら。
『The Final』で本作の映像が流れる量やオチに関わるところをもう少し削れなかったかと思います…!
ここは監督や製作陣も悩んだと言う話をインタビューで読んだので、こういうことを言うのは無粋を承知なのですが…。
『The Final』で差し込まれる映像が『The Beginning』のダイジェストになりすぎてしまっていて、本作を観た時の驚きや興奮をやはり少し減らしてしまった感は個人的にありました。
あと、主題歌については最初聴いた時、これだけドラマチックな作品にしては少しトーンが暗いというかキャッチーに振ってない印象がありました。
ただ、こちらも酢昆布のようにどんどんこの曲の旨味が分かってきまして、今はヘビロテしてます。
最初聴いた時は印象に残らないかなーと頭では思ってたんですが、気づいたらサビを口ずさんでる自分がいました(笑)
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■メイキング動画
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映画鑑賞後に是非こちらの動画をご覧ください。
より映画の面白さが深まります!
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■あとがき
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いやー、これにてシリーズが完結してしまいましたね。
寂しいような、めでたいような。
今はとにかく、こんなにもすごいクオリティーの邦画を生み出してくれたスタッフ・キャストに感謝しかありません。
今作公開のほぼ同タイミングから東京大阪含め全国で公開できるようになりましたし、るろ剣の最終章が暴れるのはここからですね!
実写るろ剣は全作品好きなんですが、あえて好きな順番を付けるとしたら一番は『京都大火編』でした。
ただ、今は『The Beginning』はシリーズで一番好きです。
『最終章』の興収や動員も楽しみですし、自分も繰り返し観て応援したいと思います!
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■予告編
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