【帝一の國】 | シネフィル倶楽部

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洋邦ジャンル問わず最新作から過去の名作まで色んな作品ついて、ライトな感想や様々な解釈・評論を掲載orつらつらと私「どい」こと井戸陽介の感想を書く場にしたいと思います!観ようと思ってる作品、観たい過去の作品を探す時とかの参考書みたいに活用してもらえればと♪

NEWオススメ新作(※ネタバレなし)

 

なんて気持ちの良い映画だろう───観終わった時、そう思いました。

 

不意打ちすぎる面白さで、今年の邦画ベスト5に入る勢い。

 

キャストが旬だとか、漫画原作だとか、コメディだとかそんなん全部置いておいて、ひとつの物語として───ひとつの映画としてクオリティが高かった♪

 

何故なら、本作が一本スジが通った「政治ドラマ」だからです。

 

『帝一の國』

(2017)

 

めっっっっちゃ面白かった!

 

予告を見る限り、ハイテンションでおバカな事やって押し切る作品かなーと思ってたけど、全くそんな事なくて。

 

これはコメディーを織り交ぜた政治ドラマ。

 

クライマックスの盛り上がりや意外な展開もびっくりしました。


結果、2回映画館で鑑賞したほど(笑)

 

今回ソフト化記念で、タイミングを待って記事をアップしました。

 

という事で、いつも通りあらすじへ参りましょう。

 

「始まるぞ!拍手!」

 

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■『帝一の國』あらすじ

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全国屈指の頭脳を持つ800人のエリート学生達が通う、日本一の超名門・海帝高校。

 

政財界に強力なコネを持ち、海帝でトップ=生徒会長をつとめたものには、将来の内閣入りが確約されているという。時は4月、新学期。

 

 

大きな野心を持つ男が首席入学を果たす。新1年生・赤場帝一。

 

彼の夢は「総理大臣になって、自分の国を作る」こと。

 

その夢を実現するためには、海帝高校の生徒会長になることが絶対条件。

 

「ライバルを全員蹴落として、必ずここでトップに立つ…そのためならなんでもする…どんな汚いことでも…。2年後の生徒会長選挙で優位に立つには、1年生の時にどう動くかが鍵となる。戦いはもう始まっているのだ!」。

 

 

誰よりも早く動き始め、野望への第一歩を踏み出した帝一。

 

待ち受けていたものは、想像を絶する罠と試練!

友情と裏切り!

 

究極の格付けバトルロワイアル! 

いま、命がけの 「生徒会選挙」が幕を開ける!!

 

 

(映画『帝一の國』公式サイトより)

 

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■気持ちの良い映画

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本作は、ひたすら「帝一が総理大臣になるために生徒会長になれるかどうか」に主軸を置いており、冒頭からラストまで全くブレてないんですね。

 

余計なラブの要素も排除し、遠回りもせず、帝一の演説で始まる冒頭からラストシーンまで一直線に走りきっている。

 

観終わった後何も残らない映画は、物語や描くコトやヒトがあっちにいってこっちにいってとフラフラ蛇行している作品だったりします。

 

主人公が目的に向かいつつ、友情を育んで、家族と向き合い、恋愛もして、さらに他の事件にも首をつっこんで、テーマと関係ない言動を描いて、さらにそこに他の人の動向や恋愛も描いていて──となると、どこ観ていいのやら…となってしまいます。

 

それがこの映画にはない。

潔い映画です。

 

例えば、原作だと大鷹弾と美々子がイイ感じになったりするそうですが、映画ではそれも省いており、主人公・帝一のセリフや行動が一貫してブレていない。

 

だからこの映画は"気持ちいい"のだと思うんです。

 

そういう主人公にはついていきたくなるもんです。

 

ついていきたくなるというか、応援したくなるし、彼の視点で映画の物語を体感しやすいですね。

 

 

そしてもう一点。

 

映画の始まりから終わりまでの道程が気持ちいい。

 

映画の物語や展開を道に例えるならば、クネクネと曲がりに曲がっている道なのにひたすらに平坦というような作品は、あまり娯楽性は高くありません。

 

曲がりくねっていてどこがゴールなんだかか、どこに向かっているんだか分からないし、ただ振り回されているだけの感覚になり気持ちが動きません。

 

でも、大筋がぶれるのでなく道は真っ直ぐ一本なんだけど、その道の上に大小様々な障害物がある──そんなまっすぐとゴールを見据えられるけれど一筋縄ではいかない映画は鑑賞後に確かな手応えを得られますね。

 

そして、ゴールまで気持ちよく走って辿り着いたその先に───。

 

結末は是非映画を観ていただければと♪

 

 

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■監督の國 ~ 永井聡氏

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この國を作り上げたのは、永井聡監督。

 

本作を観に行ったきっかけはこの永井監督でした。

 

永井氏の作品『ジャッジ!』が面白かったんです。

 

 

現実的な展開と映画ならではの外連味のバランスがとてもよくて、笑って感動して素直に楽しめる一本の作品になっていました。

 

あの感覚を持った人の作品は信頼できるなぁと思いまして、いそいそと初日に観に行った訳です。

 

本作のキャスティングって、そこだけ切り取ってしまえばメインのターゲットは女性、そしておそらく女子高生などの若者向けな訳です。

 

だって菅田将暉、野村周平、志尊淳、竹内涼真、間宮翔太郎、千葉雄大って布陣ですよ?笑

 

 

いま振り返っても、何故そんなキャスティングの作品を観に行こうかと思ったか不思議なんですが、間違いないのは監督が永井さんだったから。

 

そして、結果としてその選択は間違いなかった訳です。

 

「どや!」

 

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■役者の國 ~ 若手注目株

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大鷹弾、大躍進。

 

2017年上期、『ひよっこ』が大好きで大ハマりしてまして、毎朝毎朝楽しみに観ていました。

 

そんな朝ドラでも重要な役で出ていた竹内涼真。

すごい活躍ぶりですねぇ。

 

 

今期は『陸王』をとっても楽しみながら観ていますが、そこにも出演しているなど、良い作品選びや巡り合いをしているなぁという印象です。

 

 

順番が前後しましたが、本作の主役は菅田将暉。

彼の演技をすごいと思ったのは2016年の作品群のおかげ。

 

 

『ピンクとグレー』→『セトウツミ』→『何者』→『デスノート Light up the NEW world』という2016年の公開作品のリレーで彼の演技の幅を観て好きになりました。

 

『銀魂』の新八役も大ハマりしてましたしねぇ!

今後も楽しみです。

 

 

そして千葉雄大演じる森園億人!

 

千葉雄大は少し前なら帝一の右腕である公明とか可愛い感じのキャラを演りそうなもんですが、今回は冷静沈着で落ち着いたキャラクターを演じており、かなり好感が持てました。

 

 

野村周平の東郷菊馬もまぁ賑やかで五月蝿くて合ってましたし、間宮祥太朗演じる氷室ローランドの濃ゆ~い感じや、志尊淳演じる榊原光明の卒の無さもたまりませんでした。

 

 

 

 

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美美子の舞 ~ エンドロール映像

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美美子役の永野芽郁がチャーミングな踊りを披露するムービーで映画はエンドロールを迎えます。

 

これがね、なかなか可愛い。

 

 

ただ、個人的に映画として本作にひとつ注文つけるならば、ここでした。

 

映画本編のエンディングのトーンがむちゃくちゃエッジが効いててクールでゾワっとさせるの仕上がりなので、いきなりこの可愛いトーンに移ってしまったのが勿体無いなぁと思いました。

 

映画としてのカタルシスが詰まったラストシーンの余韻を感じられないまま、永野芽郁のダンスを観ることになるので、それぞれの良さを相殺し合ってしまっていると感じました。

 

結局劇場で二回観まして、2回目の時はそういう構成と分かって観にいってるので、混乱や落胆なく観られました。

 

まだ公式動画が上がってましたので、是非観てみてください。

 

 

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■コメディの國

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何はともあれ、採点シーンね。

 

名シーンです(笑)

 

 

この撮影時、吉田鋼太郎×菅田将暉という濃ゆ〜い演技合戦にスタッフも笑いこらえるの大変だったとか(笑)

 

あと個人的には一糸乱れぬ拍手のシーンがじわじわ来ました(笑)

 

これ演者達みんな、めっちゃ練習したんだろうなと(笑)

 

 

なんか笑っちゃうほど爽快で格好いい拍手!笑

 

劇中何度も出てくるので、是非注目してみてください。

 

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■小ネタ

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本作の時間軸で生徒会長を演じているのは木村了。

 

 

そして本作は映画より先に舞台化されているのですが、その舞台で主人公・帝一を演じているのがなんと木村了なんです!

 

 

なんともニクいキャスティングですよねぇ♪

 

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■帝一の音 ~ サウンドトラック

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物語の面白さと合わせて、メインテーマが印象に残ります。

 

何度も劇中で出てきますが、同じ旋律を繰り返し用いるのは非常に好感が持てます♪

 

サスペンスフルな闘いの様と、彼の勇姿。

そのふたつを表現しているように感じます。

 

 

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■あとがき

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元々はジャンプに連載されていた作品だけあって、友情・努力・勝利の三原則は守られつつ、そこに一捻りを加えた本作。

 

その一捻りがねぇ、好きなんです(笑)

 

 

劇場公開時はバタバタして記事を上げられなかったのが悔やまれますが、このBlu-ray・DVD化のタイミングでご紹介!

 

レンタルなどで、是非ご覧頂きたい一作です!

 

 

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■予告編

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